下部消化管穿通症例に対する加療

下部消化管穿孔は,極めて緊急性の高い病態であるが,一方で下部消化管穿通は,保存的加療や待機的手術で治癒する症例も見受けられることがある.今回,当院における下部消化管穿通22症例に対する加療について,検討を行い考察した.下部消化管穿通の原因として大腸憩室炎が11例,大腸癌が7例,小腸憩室炎が1例,小腸医原性が1例,異物が1例,原因不明が1例であった.保存的に加療を行った症例が5例,緊急手術は3例,待機的手術は14例に施行された.待機的手術のうち,鏡視下手術は12例(86%)で行われ,人工肛門は3例(21%)で造設された.術後1カ月以内に死亡した症例は,認められなかった.下部消化管穿通症例では人工...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 4; pp. 679 - 683
Main Authors 杉本, 奈緒子, 伊藤, 剛, 五味, 隆, 奥村, 憲二, 慶元, 正洋, 河合, 泰博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2021
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.82.679

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Summary:下部消化管穿孔は,極めて緊急性の高い病態であるが,一方で下部消化管穿通は,保存的加療や待機的手術で治癒する症例も見受けられることがある.今回,当院における下部消化管穿通22症例に対する加療について,検討を行い考察した.下部消化管穿通の原因として大腸憩室炎が11例,大腸癌が7例,小腸憩室炎が1例,小腸医原性が1例,異物が1例,原因不明が1例であった.保存的に加療を行った症例が5例,緊急手術は3例,待機的手術は14例に施行された.待機的手術のうち,鏡視下手術は12例(86%)で行われ,人工肛門は3例(21%)で造設された.術後1カ月以内に死亡した症例は,認められなかった.下部消化管穿通症例では人工肛門造設が少ない,一期的,待機的鏡視下手術を検討することが可能であった.臨床,画像所見にて正確な診断がなされれば,容態の悪化する可能性に常に留意すれば,穿通症例に対しては低侵襲な加療の選択が可能であると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.82.679