術前診断し得た横行結腸軸捻転症の1例

症例は脳性麻痺の51歳,男性。繰り返す嘔吐で近医受診。腹部単純X線検査でcoffee bean sign様の結腸の拡張を認め,S状結腸軸捻転症の疑いで当院外科紹介となった。腹部CT検査で,著明に拡張した結腸のclosed-loopを認め,下腹部には盲腸,S状結腸が確認された。横行結腸軸捻転症と診断し緊急開腹手術を施行した。術中所見では,横行結腸は結腸間膜を軸として反時計回りに540°捻転しており,捻転解除後に壊死腸管の切除再建を行った。横行結腸間膜間隙への内ヘルニア予防のため,大網で横行結腸間膜欠損部を閉鎖し手術を終了した。術後,小腸麻痺性イレウス,誤嚥性肺炎を認めたが抗生剤で保存的に改善し,...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 43; no. 6; pp. 937 - 940
Main Authors 大澤, 一郎, 戸崎, 達, 鳥居, 隼, 並木, 完憲, 岩岡, 瑛司, 岩本, 久幸, 山田, 典和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.09.2023
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.43.937

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Summary:症例は脳性麻痺の51歳,男性。繰り返す嘔吐で近医受診。腹部単純X線検査でcoffee bean sign様の結腸の拡張を認め,S状結腸軸捻転症の疑いで当院外科紹介となった。腹部CT検査で,著明に拡張した結腸のclosed-loopを認め,下腹部には盲腸,S状結腸が確認された。横行結腸軸捻転症と診断し緊急開腹手術を施行した。術中所見では,横行結腸は結腸間膜を軸として反時計回りに540°捻転しており,捻転解除後に壊死腸管の切除再建を行った。横行結腸間膜間隙への内ヘルニア予防のため,大網で横行結腸間膜欠損部を閉鎖し手術を終了した。術後,小腸麻痺性イレウス,誤嚥性肺炎を認めたが抗生剤で保存的に改善し,術後14日目に退院となった。今回,横行結腸軸捻転症というまれな1例を経験したので,文献的考察を踏まえ報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.43.937