内腸骨静脈から右心房まで伸展した静脈内平滑筋腫症に対する一期的手術例

症例は47歳女性.検診で施行された超音波検査で下大静脈内に可動性のある腫瘤を指摘され,精査の結果,右内腸骨静脈から下大静脈の全長におよぶ腫瘤を認めた.血栓症を疑い抗凝固療法を施行したが腫瘤に変化はなく,腫瘍播種,肺塞栓症の可能性があるため,手術適応となった.術前検査では開腹術のみで腫瘤摘出術が可能と思われたが,執刀前の経食道超音波検査で,腫瘤の一部が右心房壁に付着していることが判明した.そのため体外循環を併用,オクルージョンカテーテルで塞栓を予防しつつ,開胸・開腹術により腫瘤を起始部の上殿静脈から一期的に全摘出した.病理診断は静脈内平滑筋腫症であった.術後経過は良好で2年後の現在再発を認めず,...

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Published in静脈学 Vol. 28; no. 1; pp. 39 - 43
Main Authors 橋山, 直樹, 益田, 宗孝, 田邊, 康宏, 孟, 真, 菅原, 海, 沖山, 信, 阿賀, 健一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本静脈学会 31.03.2017
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ISSN0915-7395
2186-5523
DOI10.7134/phlebol.17-02

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Summary:症例は47歳女性.検診で施行された超音波検査で下大静脈内に可動性のある腫瘤を指摘され,精査の結果,右内腸骨静脈から下大静脈の全長におよぶ腫瘤を認めた.血栓症を疑い抗凝固療法を施行したが腫瘤に変化はなく,腫瘍播種,肺塞栓症の可能性があるため,手術適応となった.術前検査では開腹術のみで腫瘤摘出術が可能と思われたが,執刀前の経食道超音波検査で,腫瘤の一部が右心房壁に付着していることが判明した.そのため体外循環を併用,オクルージョンカテーテルで塞栓を予防しつつ,開胸・開腹術により腫瘤を起始部の上殿静脈から一期的に全摘出した.病理診断は静脈内平滑筋腫症であった.術後経過は良好で2年後の現在再発を認めず,経過観察中である.
ISSN:0915-7395
2186-5523
DOI:10.7134/phlebol.17-02