巨大腹部大動脈瘤により入院中,SMA症候群を発症した一例

腹部大動脈瘤(AAA)による上腸間膜動脈症候群(SMAS)の報告は散見されるが,消化器症状を契機にAAAが発見される場合がほとんどである.今回,AAAによる入院中にSMASを発症した症例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は74歳男性.腰痛を主訴に紹介医を受診し最大短径104 mmのAAAを認め当科紹介となった.準緊急での手術方針とし入院加療を開始したが,入院翌日に嘔吐を認め造影CTでSMASと診断した.胃管留置で消化器症状は改善した.入院5日目に開腹人工血管置換術を行い,術後13日目に自宅退院した.本症例でのSMAS発症前後の画像検査を考察し,AAAの経過観察中においてSMASを発症...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 32; no. 5; pp. 411 - 415
Main Authors 中村, 剛, 片山, 秀幸, 恒吉, 裕史, 下村, 俊太郎, 木村, 崇暢, 瀬戸﨑, 修司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 27.10.2023
日本血管外科学会
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.23-00051

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Summary:腹部大動脈瘤(AAA)による上腸間膜動脈症候群(SMAS)の報告は散見されるが,消化器症状を契機にAAAが発見される場合がほとんどである.今回,AAAによる入院中にSMASを発症した症例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は74歳男性.腰痛を主訴に紹介医を受診し最大短径104 mmのAAAを認め当科紹介となった.準緊急での手術方針とし入院加療を開始したが,入院翌日に嘔吐を認め造影CTでSMASと診断した.胃管留置で消化器症状は改善した.入院5日目に開腹人工血管置換術を行い,術後13日目に自宅退院した.本症例でのSMAS発症前後の画像検査を考察し,AAAの経過観察中においてSMASを発症前から予測することができると考えられた.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.23-00051