自然寛解した膝窩動脈外膜囊腫の3例

膝窩動脈外膜囊腫は,外膜に貯留したコロイド様物質が内腔を圧迫することにより生じる非動脈硬化性の閉塞性動脈疾患である.外科的治療介入の待機中に自然寛解した3例を経験した.症例は56歳,34歳,72歳の男性で,間歇性跛行にて発症した.画像診断では,半月状の外膜囊腫により膝窩動脈内腔が圧迫され狭窄ないしは閉塞所見を呈していた.3例中2例で,膝窩動脈周囲の多房性囊腫と膝関節腔との交通を認めた.全例で外科的血行再建を予定したが,待機中に症状が自然消失したため保存的治療にて経過観察を行った.発症から自然寛解までの期間は各々約3カ月,約1カ月,13日であった.外膜囊腫と膝関節包の交通を認めた1例で症状の自然...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 32; no. 6; pp. 455 - 461
Main Authors 外田, 洋孝, 折田, 博之, 廣岡, 茂樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 17.12.2023
日本血管外科学会
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.23-00073

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Summary:膝窩動脈外膜囊腫は,外膜に貯留したコロイド様物質が内腔を圧迫することにより生じる非動脈硬化性の閉塞性動脈疾患である.外科的治療介入の待機中に自然寛解した3例を経験した.症例は56歳,34歳,72歳の男性で,間歇性跛行にて発症した.画像診断では,半月状の外膜囊腫により膝窩動脈内腔が圧迫され狭窄ないしは閉塞所見を呈していた.3例中2例で,膝窩動脈周囲の多房性囊腫と膝関節腔との交通を認めた.全例で外科的血行再建を予定したが,待機中に症状が自然消失したため保存的治療にて経過観察を行った.発症から自然寛解までの期間は各々約3カ月,約1カ月,13日であった.外膜囊腫と膝関節包の交通を認めた1例で症状の自然寛解から8カ月後に下肢虚血症状の再燃を認めたが,約1週間の抗凝固療法の後,再度寛解に至った.自然寛解した膝窩動脈外膜囊腫の自験例3症例について文献的考察を含め報告する.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.23-00073