偽腔破裂を伴う急性B型大動脈解離に対するTEVARにおいて対麻痺回避に運動誘発電位モニターが有用であった1例

急性B型解離の偽腔破裂は致死的疾患で救命が最優先される.しかし対麻痺を発症するとADLが低下し予後にも影響する.今回われわれは術中に運動誘発電位(MEP)をモニタリングし,MEP変化に対応することで対麻痺を回避し得た1例を経験したので報告する.症例は60歳男性.近位下行大動脈のエントリー近傍の偽腔より縦隔内にextravasationを認めた.ステントグラフト留置(Zone2~Th8)直後にはMEP変化はみられなかった.偽腔血流制御の手技中,ステント展開後から51分後からMEPが低下し,78分後にはMEPが消失した.平均血圧を上昇させてもMEPが回復しなかった.左鎖骨下動脈へベアステント留置し...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 30; no. 5; pp. 291 - 294
Main Authors 比嘉, 章太郎, 喜瀬, 勇也, 古川, 浩二郎, 安藤, 美月, 永野, 貴昭, 仲榮眞, 盛保
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 30.09.2021
日本血管外科学会
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.21-00042

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Summary:急性B型解離の偽腔破裂は致死的疾患で救命が最優先される.しかし対麻痺を発症するとADLが低下し予後にも影響する.今回われわれは術中に運動誘発電位(MEP)をモニタリングし,MEP変化に対応することで対麻痺を回避し得た1例を経験したので報告する.症例は60歳男性.近位下行大動脈のエントリー近傍の偽腔より縦隔内にextravasationを認めた.ステントグラフト留置(Zone2~Th8)直後にはMEP変化はみられなかった.偽腔血流制御の手技中,ステント展開後から51分後からMEPが低下し,78分後にはMEPが消失した.平均血圧を上昇させてもMEPが回復しなかった.左鎖骨下動脈へベアステント留置し順行性血流を確保したところ,MEPの回復がみられ,術後も対麻痺は認めなかった.緊急手術であっても可能な限りMEPをモニタリングし,MEP変化に適切に対処することで対麻痺発症の予防に努めることが肝要である.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.21-00042