コロナ禍による女子大学生の日常生活への影響

2020年4月に新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が発令され, 大学への入構が禁止されてから約4か月の間, 大学生が寮や下宿, 自宅でどのように生活環境を整え, 生活してきたか, その実態を把握した. 調査対象は, 下宿生活をする学生が多い奈良県内の小規模女子大学の学部生および院生である. コロナ禍初期は, 睡眠時間は確保されやすくなったものの, 新しい授業形態や友人や家族に会えない不安などから, 睡眠の質が確保されていたか厳しい状況の学生もいた. また, 目の疲れや首筋や肩のこりを発症した学生は多かった. 食については自炊が増えた, 栄養のバランスを考えるようになったなど, 望まれる食生活...

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Published in日本家政学会誌 Vol. 72; no. 9; pp. 581 - 600
Main Authors 藤平, 眞紀子, 久保, 博子, 星野, 聡子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本家政学会 2021
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ISSN0913-5227
1882-0352
DOI10.11428/jhej.72.581

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Summary:2020年4月に新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が発令され, 大学への入構が禁止されてから約4か月の間, 大学生が寮や下宿, 自宅でどのように生活環境を整え, 生活してきたか, その実態を把握した. 調査対象は, 下宿生活をする学生が多い奈良県内の小規模女子大学の学部生および院生である. コロナ禍初期は, 睡眠時間は確保されやすくなったものの, 新しい授業形態や友人や家族に会えない不安などから, 睡眠の質が確保されていたか厳しい状況の学生もいた. また, 目の疲れや首筋や肩のこりを発症した学生は多かった. 食については自炊が増えた, 栄養のバランスを考えるようになったなど, 望まれる食生活に近づけた例も多かったが, 食生活の乱れが一部でみられた. 衣生活では時間のゆとりを活かした衣類の管理や, 気持ちを上げようと衣服への関心を高めた例もみられた. 住生活は, 在宅時間が長くなり, 自室の環境整備に取り組む様子が窺えた. 今後, 情報提供の整備や相談窓口の整備とともに, 寮や下宿の環境整備も必要である. また, 個々人が, 日頃から友人や家族, 他者と繋がりつつ, 日々の暮らしの中で, 趣味や楽しみを持ち, 予期せぬ事態と共存していく生活力を身につけていくことも必要である.
ISSN:0913-5227
1882-0352
DOI:10.11428/jhej.72.581