術中門脈損傷に対する左腎静脈グラフトを用いたリカバリーショット

進行癌の広範な門脈浸潤症例の根治的切除には自家グラフトを用いた門脈再建が必要となることがあり,その際に用いられる種々のグラフトのうちの1 つに左腎静脈グラフトがある。左腎静脈グラフトには多くの利点があるが,特徴的な利点として,新たな皮膚切開を置く必要がなく,同一視野で容易に採取できることがあげられる。この利点は,癌手術のみならず,術中門脈損傷に対するすみやかな出血制御と血行確保といういわゆるリカバリーショットにおいても有効と考えられる。今回われわれは,左腎静脈グラフトの有用性とその実際の手技について詳述し,また術中門脈損傷に対するリカバリーショットの実例として,膵頭十二指腸切除における高度な術...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 42; no. 3; pp. 385 - 388
Main Authors 古川, 勝規, 酒井, 望, 久保木, 知, 高屋敷, 吏, 細川, 勇, 大塚, 将之, 鈴木, 大亮, 高野, 重紹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.03.2022
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.42.385

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Summary:進行癌の広範な門脈浸潤症例の根治的切除には自家グラフトを用いた門脈再建が必要となることがあり,その際に用いられる種々のグラフトのうちの1 つに左腎静脈グラフトがある。左腎静脈グラフトには多くの利点があるが,特徴的な利点として,新たな皮膚切開を置く必要がなく,同一視野で容易に採取できることがあげられる。この利点は,癌手術のみならず,術中門脈損傷に対するすみやかな出血制御と血行確保といういわゆるリカバリーショットにおいても有効と考えられる。今回われわれは,左腎静脈グラフトの有用性とその実際の手技について詳述し,また術中門脈損傷に対するリカバリーショットの実例として,膵頭十二指腸切除における高度な術中門脈損傷に対して,左腎静脈グラフト再建を行った症例を報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.42.385