虫垂炎を契機に診断された10歳女児虫垂神経内分泌腫瘍の1例
症例は10歳,女児.腹痛を主訴に当院救急外来を受診した.腹部造影CTで虫垂の腫大,糞石様高吸収域,周囲の脂肪織濃度の上昇を認め,急性虫垂炎と診断し腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.切除標本では虫垂体部に灰黄色調の1.1×1.5cmの腫瘤と高度の狭窄を認めた.組織学的には粘膜下層から一部漿膜下層にかけて類円形核と淡好酸性細胞質をもつ比較的均一な腫瘍細胞が浸潤し,索状配列を呈していた.核分裂像を認め(2.5/10 HPF),Ki-67 labeling index 8.4%でNET G2と診断された.わずかにリンパ管侵襲を認めたがリンパ節転移は認めず,慎重経過観察の方針とし,術後半年再発は認めていない...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 4; pp. 603 - 607 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2023
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.84.603 |
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Summary: | 症例は10歳,女児.腹痛を主訴に当院救急外来を受診した.腹部造影CTで虫垂の腫大,糞石様高吸収域,周囲の脂肪織濃度の上昇を認め,急性虫垂炎と診断し腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.切除標本では虫垂体部に灰黄色調の1.1×1.5cmの腫瘤と高度の狭窄を認めた.組織学的には粘膜下層から一部漿膜下層にかけて類円形核と淡好酸性細胞質をもつ比較的均一な腫瘍細胞が浸潤し,索状配列を呈していた.核分裂像を認め(2.5/10 HPF),Ki-67 labeling index 8.4%でNET G2と診断された.わずかにリンパ管侵襲を認めたがリンパ節転移は認めず,慎重経過観察の方針とし,術後半年再発は認めていない.小児虫垂NETは予後良好であるが稀な疾患であり,追加切除の要否,フォローアップの期間や方法等の治療方針について明確な基準はなく,今後の症例の蓄積による治療方針の確立が望まれる. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.84.603 |