大量胸水による呼吸不全で救急搬送された子宮筋腫併存原発性腹膜癌の1例

症例は,呼吸困難のため救急車搬送された57歳の女性.来院時,室内気吸入時の動脈血酸素分圧が46.1mmHgと急性呼吸不全の状態であった.胸腹部CT画像で大量の右胸水,巨大な子宮筋腫と腹水があり,pseudo-Meigs症候群と診断した.この症例は,試験開腹所見,子宮付属器摘出術,血清CA125値の推移,腹水セルブロックによる細胞診断から原発性腹膜癌(PPC:II期)による胸水貯留と診断訂正された.子宮摘出後,腹膜癌治療ガイドラインに従い全身化学療法を継続中であり,24カ月後の現在,CA125値は正常域を維持しており,完全寛解中である.II期のPPCは,化学療法によく反応し治癒の可能性もあるが,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 83; no. 5; pp. 952 - 956
Main Authors 土佐, 明誠, 西澤, 恭子, 安次富, 駿介, 中嶋, 啓雄, 坂井, 昇道, 柴田, 信博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2022
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.83.952

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Summary:症例は,呼吸困難のため救急車搬送された57歳の女性.来院時,室内気吸入時の動脈血酸素分圧が46.1mmHgと急性呼吸不全の状態であった.胸腹部CT画像で大量の右胸水,巨大な子宮筋腫と腹水があり,pseudo-Meigs症候群と診断した.この症例は,試験開腹所見,子宮付属器摘出術,血清CA125値の推移,腹水セルブロックによる細胞診断から原発性腹膜癌(PPC:II期)による胸水貯留と診断訂正された.子宮摘出後,腹膜癌治療ガイドラインに従い全身化学療法を継続中であり,24カ月後の現在,CA125値は正常域を維持しており,完全寛解中である.II期のPPCは,化学療法によく反応し治癒の可能性もあるが,画像診断には限界がある.CA125高値の巨大子宮筋腫では,視触診による腹膜散布状の白色結節の有無についての,専門医による術中審査が必要である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.83.952