腹腔鏡下盲腸固定術後11年目に再発した盲腸軸捻転症の1例

症例は55歳,女性。11年前に移動盲腸に伴った盲腸軸捻転症に対して,内視鏡的整復後に腹腔鏡下盲腸固定術を施行した。今回,下腹部痛を主訴に受診し,精査の結果盲腸軸捻転症再発と診断した。内視鏡的整復は困難で,緊急手術を施行した。開腹所見で,後腹膜への固定は完全に解除されており,盲腸を中心として時計回りに720度回転していた。盲腸から上行結腸中央部までが著明に拡張し漿膜裂傷を認めたため,回盲部切除術を施行した。盲腸軸捻転症は,腸回転異常による移動盲腸に伴って発生するまれな疾患である。腸管壊死のある症例では腸管切除が必要であるが,腸管壊死のない症例に対する治療方針は,いまだコンセンサスは得られていない...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 42; no. 6; pp. 651 - 653
Main Authors 菅, 淳, 瀬山, 厚司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.09.2022
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.42.651

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Summary:症例は55歳,女性。11年前に移動盲腸に伴った盲腸軸捻転症に対して,内視鏡的整復後に腹腔鏡下盲腸固定術を施行した。今回,下腹部痛を主訴に受診し,精査の結果盲腸軸捻転症再発と診断した。内視鏡的整復は困難で,緊急手術を施行した。開腹所見で,後腹膜への固定は完全に解除されており,盲腸を中心として時計回りに720度回転していた。盲腸から上行結腸中央部までが著明に拡張し漿膜裂傷を認めたため,回盲部切除術を施行した。盲腸軸捻転症は,腸回転異常による移動盲腸に伴って発生するまれな疾患である。腸管壊死のある症例では腸管切除が必要であるが,腸管壊死のない症例に対する治療方針は,いまだコンセンサスは得られていない。今回われわれは,腸管壊死のない盲腸軸捻転症に対する腹腔鏡下盲腸固定術後11年を経て再発した症例を経験した。盲腸軸捻転症に対する術式と再発予防について,文献的考察を加え報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.42.651