破裂性腹部大動脈瘤に対するEVAR後の腹部コンパートメント症候群による閉腹困難症例に対して後腹膜血腫除去および瘤縫縮が有効であった一例
症例は開腹歴のある85歳女性.最大短径10 cmの腹部大動脈瘤破裂に対して,緊急で腹部大動脈ステントグラフト内挿術(EVAR)を施行した.術前ショック状態にて左上腕動脈から下行大動脈に大動脈遮断カテーテルを挿入して血流をコントロールした.EVAR終了後に腹部コンパートメント解除のために外科的開腹減圧を行った.後腹膜は瘤および血腫で膨隆していた.開腹後血行動態は著明に改善した.術後1週間で3度試験開腹し閉腹を試みたが後腹膜腔の膨隆のため,定型的筋膜閉鎖による閉腹は困難であった.術後8日目に造影CTにて人工血管のmajor leakがないことを確認したのち,後腹膜腔の血腫を可及的に除去した.さらに...
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          | Published in | 日本血管外科学会雑誌 Vol. 29; no. 4; pp. 275 - 279 | 
|---|---|
| Main Authors | , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            特定非営利活動法人 日本血管外科学会
    
        26.08.2020
     日本血管外科学会  | 
| Subjects | |
| Online Access | Get full text | 
| ISSN | 0918-6778 1881-767X  | 
| DOI | 10.11401/jsvs.20-00050 | 
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| Summary: | 症例は開腹歴のある85歳女性.最大短径10 cmの腹部大動脈瘤破裂に対して,緊急で腹部大動脈ステントグラフト内挿術(EVAR)を施行した.術前ショック状態にて左上腕動脈から下行大動脈に大動脈遮断カテーテルを挿入して血流をコントロールした.EVAR終了後に腹部コンパートメント解除のために外科的開腹減圧を行った.後腹膜は瘤および血腫で膨隆していた.開腹後血行動態は著明に改善した.術後1週間で3度試験開腹し閉腹を試みたが後腹膜腔の膨隆のため,定型的筋膜閉鎖による閉腹は困難であった.術後8日目に造影CTにて人工血管のmajor leakがないことを確認したのち,後腹膜腔の血腫を可及的に除去した.さらに瘤を切開してステントグラフトを露出し,周囲の瘤内血腫を除去したうえで,瘤を縫縮した.後腹膜腔の膨隆は改善し,定型的筋膜閉鎖による閉腹が可能であった. | 
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| ISSN: | 0918-6778 1881-767X  | 
| DOI: | 10.11401/jsvs.20-00050 |