複数のネオジム磁石誤飲により緊急手術を要した小児の1症例

8歳男児。2日前からの腹痛を主訴に受診した。腹膜刺激症状と,腹部単純X線検査で腹腔内に4個の異物が認められた。再度の問診で数日前に数個のネオジム磁石を飲んだことが聴取できた。単純CT検査で,小腸内に4個の磁石が存在し,口側腸管の拡張と腹水が認められた。腸閉塞と消化管穿孔を疑い緊急手術を行った。2個の磁石はTreitz靭帯から40cmと220cmの部位で小腸壁を介して結合し,挟まれた小腸壁は壊死していたため小腸部分切除を行った。残りの2個は術中透視検査から十二指腸下行脚に存在していることが判明し,内視鏡下に摘出した。術後経過は良好で術6日後に退院した。複数個の磁石誤飲は,単独の誤飲と比べ磁石に挟...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 42; no. 4; pp. 561 - 564
Main Authors 中村, 有佑, 栄, 由香里
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.05.2022
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.42.561

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Summary:8歳男児。2日前からの腹痛を主訴に受診した。腹膜刺激症状と,腹部単純X線検査で腹腔内に4個の異物が認められた。再度の問診で数日前に数個のネオジム磁石を飲んだことが聴取できた。単純CT検査で,小腸内に4個の磁石が存在し,口側腸管の拡張と腹水が認められた。腸閉塞と消化管穿孔を疑い緊急手術を行った。2個の磁石はTreitz靭帯から40cmと220cmの部位で小腸壁を介して結合し,挟まれた小腸壁は壊死していたため小腸部分切除を行った。残りの2個は術中透視検査から十二指腸下行脚に存在していることが判明し,内視鏡下に摘出した。術後経過は良好で術6日後に退院した。複数個の磁石誤飲は,単独の誤飲と比べ磁石に挟まれた腸管壁や腸間膜の圧迫壊死による穿孔や穿通,瘻孔形成,腸管ループ形成による腸閉塞などの原因となりうる。誤飲の現場を親が目撃していないことも多く,詳細な問診や画像検査を行い診断する必要性が示唆された。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.42.561