von Recklinghausen病に合併した脾動脈瘤の1例

von Recklinghausen病(von Recklinghausen disease:以下,VRD)は血管脆弱性のため動脈瘤を合併することが知られているが,脾動脈瘤の報告はまれである。今回,脾動脈瘤を合併したVRDの1例を経験したので報告する。症例は46歳男性。腹部CTで,脾動脈瘤と診断された。動脈瘤は脾門部近傍に存在し,広基性のためIVRによる塞栓術では脾動脈本幹の血流の温存は困難であること,造影剤アレルギーの既往があることなどより,手術を選択した。腹腔鏡下に,脾動脈本幹をクランプすると,脾臓の約8割に阻血性変化を認めたため,動脈瘤を含めた脾臓摘出術を施行した。動脈瘤の病理組織学的所...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 40; no. 5; pp. 661 - 665
Main Authors 高台, 真太郎, 濱野, 玄弥, 清水, 貞利, 金沢, 景繁, 白井, 大介, 木下, 正彦, 村田, 哲洋, 西尾, 康平, 田嶋, 哲三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.07.2020
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.40.661

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Summary:von Recklinghausen病(von Recklinghausen disease:以下,VRD)は血管脆弱性のため動脈瘤を合併することが知られているが,脾動脈瘤の報告はまれである。今回,脾動脈瘤を合併したVRDの1例を経験したので報告する。症例は46歳男性。腹部CTで,脾動脈瘤と診断された。動脈瘤は脾門部近傍に存在し,広基性のためIVRによる塞栓術では脾動脈本幹の血流の温存は困難であること,造影剤アレルギーの既往があることなどより,手術を選択した。腹腔鏡下に,脾動脈本幹をクランプすると,脾臓の約8割に阻血性変化を認めたため,動脈瘤を含めた脾臓摘出術を施行した。動脈瘤の病理組織学的所見では,内膜の肥厚,中膜の菲薄化,内弾性板の断裂を認めた。術後経過は良好で,術後11日目に退院となった。術後1年2ヵ月経過現在,再燃は認めていない。VRD合併の動脈瘤はときに致死的な経過をたどることがあり,慎重な経過観察と迅速な対応が必要である。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.40.661