急性大動脈解離Stanford B型に対する外科的開窓術の術中にICG蛍光法で腸管血流を評価した一例
臓器血流障害を伴う急性大動脈解離Stanford B型(TBAAD)に対する開窓術は血管内開窓術と外科的開窓術がある.外科的開窓術は直視下に腸管を評価できる点が有用で,今回術中ICG蛍光法で腸管血流改善を確認した症例を経験した.症例は70歳男性で来院3日前に腹痛・腰痛を発症し大動脈解離の診断で当院に転院搬送された.造影CTでdynamic obstructionによる腹腔動脈,上腸間膜動脈のmalperfusionが疑われた.ほぼ全ての肋間動脈は偽腔から起始しており,TEVARによるentry閉鎖では偽腔血栓化により脊髄梗塞を起こす可能性があったため,外科的開窓術を行った.腸管は色調が不良でI...
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Published in | 日本血管外科学会雑誌 Vol. 31; no. 5; pp. 269 - 272 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
14.09.2022
日本血管外科学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0918-6778 1881-767X |
DOI | 10.11401/jsvs.22-00051 |
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Summary: | 臓器血流障害を伴う急性大動脈解離Stanford B型(TBAAD)に対する開窓術は血管内開窓術と外科的開窓術がある.外科的開窓術は直視下に腸管を評価できる点が有用で,今回術中ICG蛍光法で腸管血流改善を確認した症例を経験した.症例は70歳男性で来院3日前に腹痛・腰痛を発症し大動脈解離の診断で当院に転院搬送された.造影CTでdynamic obstructionによる腹腔動脈,上腸間膜動脈のmalperfusionが疑われた.ほぼ全ての肋間動脈は偽腔から起始しており,TEVARによるentry閉鎖では偽腔血栓化により脊髄梗塞を起こす可能性があったため,外科的開窓術を行った.腸管は色調が不良でICGの取り込み低下を認めたが,開窓術後に改善した.ICG蛍光法を大動脈解離のmalperfusionに対し使用した報告は検索し得た限り過去にない.外科的開窓術は直視下にその治療効果を術中に確認できICG蛍光法の併用でより確実な血流評価が可能であった. |
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ISSN: | 0918-6778 1881-767X |
DOI: | 10.11401/jsvs.22-00051 |