二期的腹腔鏡下手術を行ったde Garengeot herniaの1例

患者は74歳,女性.右鼠径部の用手的還納困難な膨隆と同部位の疼痛を主訴に当科を受診した.来院時,腹部は平坦・軟で,腹膜刺激症状は認めなかった.血液検査で白血球数8,900/μL,CRP 13.22mg/dLと炎症反応高値を認め,腹部CTで右大腿輪に脱出するヘルニア嚢を認めた.以上より,右大腿ヘルニア嵌頓の診断で緊急手術を施行した.腹腔鏡下に腹腔内を観察,右大腿輪へ嵌頓した虫垂を認めた.虫垂は穿孔しており,ヘルニア嚢内に膿汁が充満していた.虫垂切除を行い,ドレーンをヘルニア嚢経由で留置した.術後経過良好で,4カ月経過後に改めて大腿ヘルニアに対して腹腔鏡下ヘルニア修復術を施行した.大腿ヘルニアの中...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 83; no. 3; pp. 585 - 591
Main Authors 畑中, 正行, 國安, 哲史, 竹上, 正之, 古川, 義英, 山本, 裕之, 豊田, 暢彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2022
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.83.585

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Summary:患者は74歳,女性.右鼠径部の用手的還納困難な膨隆と同部位の疼痛を主訴に当科を受診した.来院時,腹部は平坦・軟で,腹膜刺激症状は認めなかった.血液検査で白血球数8,900/μL,CRP 13.22mg/dLと炎症反応高値を認め,腹部CTで右大腿輪に脱出するヘルニア嚢を認めた.以上より,右大腿ヘルニア嵌頓の診断で緊急手術を施行した.腹腔鏡下に腹腔内を観察,右大腿輪へ嵌頓した虫垂を認めた.虫垂は穿孔しており,ヘルニア嚢内に膿汁が充満していた.虫垂切除を行い,ドレーンをヘルニア嚢経由で留置した.術後経過良好で,4カ月経過後に改めて大腿ヘルニアに対して腹腔鏡下ヘルニア修復術を施行した.大腿ヘルニアの中で嵌頓臓器が虫垂の場合をde Garengeot herniaと呼び,稀な疾患である.今回,腹腔鏡下虫垂切除術と腹腔鏡下ヘルニア修復術を二期的に施行したde Garengeot herniaの1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.83.585