片側下顎頭過形成による顔面非対称症の1例

緒言 いわゆる下顎非対称を合む顔面非対称症は種々の原因により起こることが知られているが, その1つに片側下顎頭 過形成によるものがある. われわれは, 片側下顎頭過形成による下顎非対称症に上顎の咬合平面傾斜を伴った顔面非対称症例に対し, 高位下顎頭切除術を行った後, 上下顎移動術を追加して満足のいく結果を得たので報告する. 症例 症例:25歳, 女性. 主訴:美的障害. 既往歴家族歴:特記すべき事項なし. 現病歴:16歳頃から顔面の非対称を自覚した. その後, 徐々に非対称が顕著となり21歳時に歯科矯正科を受診した. 同科にて左側下顎頭の肥大に基づく骨格性の顔面非対称症と診断され, 上下顎第一...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 10; no. 2; pp. 139 - 144
Main Authors 高野, 伸夫, 松崎, 英雄, 木住野, 義信, 渡辺, 和也, 伊藤, 亜希, 相川, 弦, 田中, 潤一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本顎変形症学会 2000
日本顎変形症学会
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ISSN0916-7048
1884-5045
DOI10.5927/jjjd1991.10.139

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Summary:緒言 いわゆる下顎非対称を合む顔面非対称症は種々の原因により起こることが知られているが, その1つに片側下顎頭 過形成によるものがある. われわれは, 片側下顎頭過形成による下顎非対称症に上顎の咬合平面傾斜を伴った顔面非対称症例に対し, 高位下顎頭切除術を行った後, 上下顎移動術を追加して満足のいく結果を得たので報告する. 症例 症例:25歳, 女性. 主訴:美的障害. 既往歴家族歴:特記すべき事項なし. 現病歴:16歳頃から顔面の非対称を自覚した. その後, 徐々に非対称が顕著となり21歳時に歯科矯正科を受診した. 同科にて左側下顎頭の肥大に基づく骨格性の顔面非対称症と診断され, 上下顎第一小臼歯および智歯の抜歯後レベリングを施行された. 現症:顔貌所見として, 左側口角の下方偏位およびオトガイの右方偏位を認めた. また口腔内所見では, 咬合平面は両側外眼角を結ぶ線と平行でなく左下がりの傾斜を呈しており, さらに正中から右側大臼歯にかけての交叉咬合がみられた(Fig. 1). 画像所見:X線CTで左側下顎頭は粗造な骨で腫大しており, さらに99mTC骨シンチグラフにて同部への著明な集積が認められた(Fig. 2). また同時期の正面頭部X線規格写真の分析では, Z点(頬骨前頭縫今部の内側で眼窩との交点)とAG点(下顎角隆起の角前切痕)とを結ぶ直線と上顎歯槽基底部との距離は左側で7mm , 右側では20mmであり, さらにfacial mid-line(顔面の正中線)に対するjaw mid-line(前鼻棘:ANSとオトガイの正中最下点:Meとを結ぶ線)の角度は17°であった(Fig. 3).
ISSN:0916-7048
1884-5045
DOI:10.5927/jjjd1991.10.139