下肢静脈瘤術後のEHIT に対する第Xa 因子阻害薬の有用性

下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術(EVLA)術後のendovenous heat-induced thrombosis(EHIT)に対して,第Xa 因子(FXa)阻害薬を投与しその有用性についてワーファリンと比較検討した.2013年4 月~2015 年1 月の1 年10 カ月間に当院で行ったEVLA(波長980 nm)症例193 例,203 肢を対象とした.術後1 日,術後1 週間に下肢静脈エコーによる観察を行った.EHIT class 2 以上の症例に薬物療法を行い,class 1 以下になるまで薬物療法を続けた.EHIT の治療は2014 年9 月まではワーファリンを中心とし(W 群...

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Published in静脈学 Vol. 27; no. 3; pp. 311 - 316
Main Author 清水, 剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本静脈学会 2016
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ISSN0915-7395
2186-5523
DOI10.7134/phlebol.15-21

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Summary:下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術(EVLA)術後のendovenous heat-induced thrombosis(EHIT)に対して,第Xa 因子(FXa)阻害薬を投与しその有用性についてワーファリンと比較検討した.2013年4 月~2015 年1 月の1 年10 カ月間に当院で行ったEVLA(波長980 nm)症例193 例,203 肢を対象とした.術後1 日,術後1 週間に下肢静脈エコーによる観察を行った.EHIT class 2 以上の症例に薬物療法を行い,class 1 以下になるまで薬物療法を続けた.EHIT の治療は2014 年9 月まではワーファリンを中心とし(W 群:10 例),2014 年10 月以降はFXa 阻害薬(X 群:12 例)を投与した.薬物投与開始から,class 1以下になるまでの期間は,W 群で3~29 日(中央値7.5 日),X 群で3~13 日(中央値7 日)で有意差はなかったが,EHIT のための通院回数はW 群が中央値2.5 回,X 群が中央値1 回とX 群が有意に少なかった(p<0.01).W 群の1 例にワーファリン投与中にEHIT が増強して,ヘパリン持続点滴とウロキナーゼの投与を行ったが,X 群でEHIT が増強した症例はなかった.EHIT class 4 および肺塞栓症は認められなかった.FXa 阻害薬は,有効性,即効性,簡便性からEVLA 後のEHIT の治療の選択肢に成りうると考えられる.
ISSN:0915-7395
2186-5523
DOI:10.7134/phlebol.15-21