後腹膜出血で緊急手術を施行した正中弓状靭帯症候群合併のSegmental Arterial Mediolysisの1例

症例は68歳,男性。突然発症の腹痛を主訴に救急搬送され,CTで膵頭部周囲の後腹膜に巨大な血腫を認め,ショック状態となったため緊急手術を施行した。開腹すると,後腹膜の巨大な血腫とともに膵十二指腸動脈の複数箇所から活動性出血を認め,姑息的な止血は困難であったため膵頭十二指腸切除を施行した。病理組織検査で膵十二指腸動脈の中膜平滑筋内に空胞形成と動脈解離所見があったことからsegmental arterial mediolysis(SAM)と診断した。術後は大きな合併症なく経過し第30病日に退院し,動脈解離の再発などはなく経過している。本症例は正中弓状靭帯症候群を合併していたが,両者の合併報告は非常に...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 40; no. 5; pp. 649 - 652
Main Authors 小野, 文徳, 柏木, 良介, 荒木, 孝明, 平野, 直大, 佐藤, 将大, 谷口, 肇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.07.2020
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.40.649

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Summary:症例は68歳,男性。突然発症の腹痛を主訴に救急搬送され,CTで膵頭部周囲の後腹膜に巨大な血腫を認め,ショック状態となったため緊急手術を施行した。開腹すると,後腹膜の巨大な血腫とともに膵十二指腸動脈の複数箇所から活動性出血を認め,姑息的な止血は困難であったため膵頭十二指腸切除を施行した。病理組織検査で膵十二指腸動脈の中膜平滑筋内に空胞形成と動脈解離所見があったことからsegmental arterial mediolysis(SAM)と診断した。術後は大きな合併症なく経過し第30病日に退院し,動脈解離の再発などはなく経過している。本症例は正中弓状靭帯症候群を合併していたが,両者の合併報告は非常に少なく,若干の文献的考察を加えて報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.40.649