手術待機中にくも膜下出血を呈した小児pial arteriovenous fistulaの1例

小児のpial arteriovenous fistula(AVF)は稀な疾患であるが,静脈圧の上昇により頭蓋内出血を来し得るため,予防的治療が考慮される.治療待機中にくも膜下出血を呈した,小児pial AVFの1例を報告する.症例は6歳女児,頭痛精査で施行されたMRIで脳幹背部に異常血管を指摘された.DSAを施行し,左後下小脳動脈を流入血管,深部静脈を流出血管とするpial AVFの診断となった.Drainerはvarixを伴っており,出血リスクが高いと考えられた.脳血管内治療の方針としたが,待機中に意識障害を伴うくも膜下出血で緊急入院となった.再出血予防と減圧のため,直達術によるshunt...

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Published in脳卒中 Vol. 46; no. 5; pp. 360 - 365
Main Authors 矢作, 宜之, 前田, 拓真, 佐藤, 政哉, 神山, 信也, 飯星, 智史, 酒井, 紫帆, 吉冨, 昌太, 古峰, 弘之, 水野, 玲奈, 大井川, 秀聡, 菅澤, 真, 鈴木, 海馬, 佐藤, 大樹, 栗田, 浩樹, 小林, 広樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2024
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.11221

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Summary:小児のpial arteriovenous fistula(AVF)は稀な疾患であるが,静脈圧の上昇により頭蓋内出血を来し得るため,予防的治療が考慮される.治療待機中にくも膜下出血を呈した,小児pial AVFの1例を報告する.症例は6歳女児,頭痛精査で施行されたMRIで脳幹背部に異常血管を指摘された.DSAを施行し,左後下小脳動脈を流入血管,深部静脈を流出血管とするpial AVFの診断となった.Drainerはvarixを伴っており,出血リスクが高いと考えられた.脳血管内治療の方針としたが,待機中に意識障害を伴うくも膜下出血で緊急入院となった.再出血予防と減圧のため,直達術によるshunt離断とvarixの摘出を行った.周術期合併症はなく,mRSスコア1で自宅退院となった.Pial AVFに対する直達術においては,血管構築の十分な理解とshunt pointの確実な閉塞が重要と考えられる.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.11221