川崎病が関与したと考えられた小児の浅大腿動脈瘤の1例

症例は6歳女性.5歳で川崎病罹患歴があった.外傷の既往.左大腿部の有痛性腫瘤を主訴に前医受診した.造影CT検査で,左浅大腿動脈に径33×31×37 mmの動脈瘤を認め,当科紹介となった.冠動脈瘤や,他の末梢動脈瘤は認めなかった.有症状で破裂の危険もあり,外科治療適応と判断した.手術は左大腿部を縦切開し,動脈瘤を露出した.動脈瘤切除後の動脈形成術は困難と判断し,大伏在静脈をreversed graftで使用した再建術を行った.瘤壁の病理では,中膜の高度な浮腫状,粘液腫様の肥厚があり,炎症細胞浸潤を伴う一部中膜の破壊が観察された.川崎病は全身の血管炎を来す疾患で冠動脈病変が有名であるが,末梢動脈瘤...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 31; no. 5; pp. 303 - 306
Main Authors 竹内, 裕也, 海野, 直樹, 露木, 肇, 片橋, 一人, 佐野, 真規, 犬塚, 和徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 05.10.2022
日本血管外科学会
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.22-00041

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Summary:症例は6歳女性.5歳で川崎病罹患歴があった.外傷の既往.左大腿部の有痛性腫瘤を主訴に前医受診した.造影CT検査で,左浅大腿動脈に径33×31×37 mmの動脈瘤を認め,当科紹介となった.冠動脈瘤や,他の末梢動脈瘤は認めなかった.有症状で破裂の危険もあり,外科治療適応と判断した.手術は左大腿部を縦切開し,動脈瘤を露出した.動脈瘤切除後の動脈形成術は困難と判断し,大伏在静脈をreversed graftで使用した再建術を行った.瘤壁の病理では,中膜の高度な浮腫状,粘液腫様の肥厚があり,炎症細胞浸潤を伴う一部中膜の破壊が観察された.川崎病は全身の血管炎を来す疾患で冠動脈病変が有名であるが,末梢動脈瘤はまれで,とくに浅大腿動脈瘤は本邦・海外ともに報告はない.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.22-00041