限局性の解離性上腕動脈瘤の1 例

要旨:上腕動脈瘤は比較的稀な疾患であり,原因としては外傷性・医原性が多い.今回われわれは,限局性の解離性上腕動脈瘤に対して手術を行い良好な結果を得たので報告する.症例は79 歳女性.外傷・医療行為歴は.約2 年前から,右上腕の腫瘤を自覚していたが,増大傾向を認めたため精査目的に当科紹介となった.超音波検査では右上腕部に21.7 mm 大の紡錘型の内部に血栓を伴う動脈瘤を認めた.手術は全身麻酔下に施行し,瘤を切除し,再建は断端どうしを端々吻合した.術後経過は概ね良好であり,術後造影CT でも吻合部等は異常,再発は認めていない.病理組織学的所見では,弾性線維の断裂や消失を認める限局性の解離性動脈瘤...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 23; no. 6; pp. 910 - 913
Main Authors 井手, 亨, 阪越, 信雄, 樋口, 卓也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 2014
日本血管外科学会
Subjects
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.14-00009

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Summary:要旨:上腕動脈瘤は比較的稀な疾患であり,原因としては外傷性・医原性が多い.今回われわれは,限局性の解離性上腕動脈瘤に対して手術を行い良好な結果を得たので報告する.症例は79 歳女性.外傷・医療行為歴は.約2 年前から,右上腕の腫瘤を自覚していたが,増大傾向を認めたため精査目的に当科紹介となった.超音波検査では右上腕部に21.7 mm 大の紡錘型の内部に血栓を伴う動脈瘤を認めた.手術は全身麻酔下に施行し,瘤を切除し,再建は断端どうしを端々吻合した.術後経過は概ね良好であり,術後造影CT でも吻合部等は異常,再発は認めていない.病理組織学的所見では,弾性線維の断裂や消失を認める限局性の解離性動脈瘤であり,動脈硬化性病変や中膜囊胞性壊死の所見は認めなかった.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.14-00009