弓部置換および大動脈弁置換術後に発症した壊疽性胆囊炎に対し腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した1例

心大血管手術後に発症する急性胆囊炎は,死亡率も高く治療に難渋する例もあり軽視できない合併症である。症例は25歳女性,Turner症候群の既往を有し慢性Stanford A型解離と大動脈弁狭窄症に対して弓部置換術および大動脈弁置換術を当院で施行された。術後は血液検査所見上,白血球とCRPの軽度高値を示したが明らかな臨床症状を認めず感染源は判然としなかった。術後第14病日に施行したCT検査で偶発的に胆囊壁の虚血と膿瘍形成を疑う所見を認め,壊疽性胆囊炎の診断で当科紹介となった。全身状態は安定し臨床症状に乏しかったが,胆囊炎から二次的に人工血管グラフトおよび人工弁感染を発症する可能性を考慮し緊急腹腔鏡...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 42; no. 4; pp. 527 - 531
Main Authors 清水, 健司, 小野寺, 優, 手島, 仁, 東本, 郁, 臼田, 昌広, 押切, 裕之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.05.2022
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.42.527

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Summary:心大血管手術後に発症する急性胆囊炎は,死亡率も高く治療に難渋する例もあり軽視できない合併症である。症例は25歳女性,Turner症候群の既往を有し慢性Stanford A型解離と大動脈弁狭窄症に対して弓部置換術および大動脈弁置換術を当院で施行された。術後は血液検査所見上,白血球とCRPの軽度高値を示したが明らかな臨床症状を認めず感染源は判然としなかった。術後第14病日に施行したCT検査で偶発的に胆囊壁の虚血と膿瘍形成を疑う所見を認め,壊疽性胆囊炎の診断で当科紹介となった。全身状態は安定し臨床症状に乏しかったが,胆囊炎から二次的に人工血管グラフトおよび人工弁感染を発症する可能性を考慮し緊急腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した。心大血管術後早期の再手術に対して腹腔鏡手術により手術侵襲を低減しつつ,胆囊炎の波及に伴う二次的な人工血管グラフトおよび人工弁感染を予防することができた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.42.527