後腹膜原発孤立性線維性腫瘍の1例

症例は69歳,女性.腹部の張りを自覚し,前医より精査目的に当院紹介となった.腹部単純CTで左上腹部背側に19×13.5cmの巨大腫瘤を認めた.副腎癌などの後腹膜腫瘍を疑い手術を施行した.術中所見にて腫瘍は左副腎と連続して発育していると判断し,腫瘍摘出および左副腎摘出術を施行した.摘出した腫瘍は最大径20cmで病理組織検査では血管周皮腫様血管を認め,免疫組織染色ではCD34が陽性であったため,後腹膜より発生した孤立性線維性腫瘍と診断した.術後は合併症なく経過し,7日目に退院となった.以後外来経過観察中であるが,術後6年3カ月が経過し再発を認めていない.今回われわれは,後腹膜に発生した巨大な孤立性...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 6; pp. 947 - 951
Main Authors 松下, 英信, 長谷川, 雄基, 武田, 重臣, 吉田, 光一, 大河内, 治, 新井, 博人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.84.947

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Summary:症例は69歳,女性.腹部の張りを自覚し,前医より精査目的に当院紹介となった.腹部単純CTで左上腹部背側に19×13.5cmの巨大腫瘤を認めた.副腎癌などの後腹膜腫瘍を疑い手術を施行した.術中所見にて腫瘍は左副腎と連続して発育していると判断し,腫瘍摘出および左副腎摘出術を施行した.摘出した腫瘍は最大径20cmで病理組織検査では血管周皮腫様血管を認め,免疫組織染色ではCD34が陽性であったため,後腹膜より発生した孤立性線維性腫瘍と診断した.術後は合併症なく経過し,7日目に退院となった.以後外来経過観察中であるが,術後6年3カ月が経過し再発を認めていない.今回われわれは,後腹膜に発生した巨大な孤立性線維性腫瘍を経験したので,再発リスクの新分類についての文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.947