ステントグラフト内挿術2年後に発症したIgG4関連炎症性腹部大動脈瘤の1例

腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術施行2年後にIgG4関連炎症性腹部大動脈瘤を発症し,ステロイドによる内科治療が奏功した1例を経験した.患者は82歳,男性.他院で腹部大動脈瘤に対しEVARを施行され,以後当院外来でフォロー中,2年後のCTフォローにおいてMantle signを認め,炎症性大動脈瘤と診断,IgG4陽性であった.CT上EVAR後2 mmの瘤径拡大を除いてEndoleak, Migrationなどの異常所見は認めず,外科治療の適応なく,ステロイド投与による内科治療を選択した.ステロイドは30 mgから開始し,血液生化学検査での炎症所見とCT所見を指標に漸減した.CT上の瘤周...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 30; no. 4; pp. 225 - 228
Main Author 角野, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 26.08.2021
日本血管外科学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.21-00022

Cover

More Information
Summary:腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術施行2年後にIgG4関連炎症性腹部大動脈瘤を発症し,ステロイドによる内科治療が奏功した1例を経験した.患者は82歳,男性.他院で腹部大動脈瘤に対しEVARを施行され,以後当院外来でフォロー中,2年後のCTフォローにおいてMantle signを認め,炎症性大動脈瘤と診断,IgG4陽性であった.CT上EVAR後2 mmの瘤径拡大を除いてEndoleak, Migrationなどの異常所見は認めず,外科治療の適応なく,ステロイド投与による内科治療を選択した.ステロイドは30 mgから開始し,血液生化学検査での炎症所見とCT所見を指標に漸減した.CT上の瘤周囲肥厚所見はステロイド開始2カ月後にほぼ消退した.ステロイドは6カ月後に5 mgまで減量し,血清IgG4値も正常化した.1年経過した時点で炎症性大動脈瘤の再発はない.文献的考察を加え報告する.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.21-00022