Bevacizumab併用化学療法中に虫垂炎を発症した進行盲腸癌の1例
症例は65歳女性で盲腸癌の多発肝転移,肺転移に対しmFOLFOX6+bevacizumab療法を施行していた。定期のCT検査で病勢進行と判定しFOLFIRI+bevacizumab療法に変更した。投与後10日目に突然の右下腹部痛が出現し救急外来を受診した。CT検査で虫垂の著明な拡張を認め,盲腸癌の虫垂開口部の閉塞による閉塞性虫垂炎の診断で,保存的治療は困難と判断し緊急手術を施行した。腹腔鏡下に回盲部切除を行い,手縫いで層々吻合を行った。術後とくに合併症は認めず術後第10病日に退院し,術後第32病日から化学療法を再開することができた。Bevacizumab使用中の手術の際に,創傷治癒遅延に起因す...
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Published in | 日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 40; no. 7; pp. 877 - 880 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
30.11.2020
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Subjects | |
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ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.40.877 |
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Summary: | 症例は65歳女性で盲腸癌の多発肝転移,肺転移に対しmFOLFOX6+bevacizumab療法を施行していた。定期のCT検査で病勢進行と判定しFOLFIRI+bevacizumab療法に変更した。投与後10日目に突然の右下腹部痛が出現し救急外来を受診した。CT検査で虫垂の著明な拡張を認め,盲腸癌の虫垂開口部の閉塞による閉塞性虫垂炎の診断で,保存的治療は困難と判断し緊急手術を施行した。腹腔鏡下に回盲部切除を行い,手縫いで層々吻合を行った。術後とくに合併症は認めず術後第10病日に退院し,術後第32病日から化学療法を再開することができた。Bevacizumab使用中の手術の際に,創傷治癒遅延に起因する創部感染や縫合不全が報告されているが,腹腔鏡手術を行うこと,吻合法を工夫することでそのリスクを軽減できる可能性がある。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.40.877 |