根治切除後早期に肝転移再発したintracholecystic papillary neoplasmの1例

症例は61歳,女性.貧血精査の上部内視鏡検査にて胃前庭部に圧排性病変を指摘された.造影CTにて胆嚢内を占拠する血流豊富な充実性病変を認めたが,明らかな漿膜および肝浸潤は認めなかった.胆嚢癌を疑い手術予定であったが,外来待機中に胆嚢炎を発症し,準緊急にて開腹拡大胆嚢摘出術および肝門部リンパ節郭清術を施行した.病理は広範な出血・壊死を伴う高異型度intracholecystic papillary neoplasm(ICPN)で,胆嚢管断端に腫瘍浸潤はなく,リンパ節転移も認めなかったため,追加切除や補助化学療法は施行しなかった.術後4カ月目,腹痛精査の造影CTにて腫瘍内出血を伴う多発肝転移を認めた...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 3; pp. 448 - 453
Main Authors 内藤, 滋俊, 長谷川, 傑, 梶原, 正俊, 佐々木, 貴英, 富永, 孝亮, 中島, 亮, 濱田, 義浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.84.448

Cover

More Information
Summary:症例は61歳,女性.貧血精査の上部内視鏡検査にて胃前庭部に圧排性病変を指摘された.造影CTにて胆嚢内を占拠する血流豊富な充実性病変を認めたが,明らかな漿膜および肝浸潤は認めなかった.胆嚢癌を疑い手術予定であったが,外来待機中に胆嚢炎を発症し,準緊急にて開腹拡大胆嚢摘出術および肝門部リンパ節郭清術を施行した.病理は広範な出血・壊死を伴う高異型度intracholecystic papillary neoplasm(ICPN)で,胆嚢管断端に腫瘍浸潤はなく,リンパ節転移も認めなかったため,追加切除や補助化学療法は施行しなかった.術後4カ月目,腹痛精査の造影CTにて腫瘍内出血を伴う多発肝転移を認めた.経カテーテル動脈塞栓術(以下TAEと略)にて状態が安定し,一旦退院としたが,TAEの1カ月後に再度腹痛をきたし,造影CTにて多発肝転移の増大と再度の腫瘍内出血を認めた.改めてTAEにて止血を行うも,その1カ月後(術後6カ月目)に癌死した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.448