Krukenberg腫瘍を契機に発見され術後17年生存中の進行胃癌の1例

腹部膨隆が主訴の49歳の女性に直径20cm大の卵巣腫瘍が見つかり,原発性卵巣癌として広範リンパ節郭清を伴う子宮全摘術と両側附属器摘除術が施行された.病理学的検索から転移性卵巣腫瘍が疑われ,精査により胃に進行癌が見つかり,外科に紹介され胃全摘術と脾臓摘出術を施行した.病理学的に卵巣転移を伴う胃癌と最終診断(pT4a N3b M1 Stage IV)された.化学療法としてpaclitaxelとcarboplatinを7クール行い,さらにS-1内服を1年間継続した.以後,現在まで17年間再発なく経過している.胃癌の卵巣転移はKrukenberg腫瘍としてよく知られているが,その中でも卵巣先行切除後に...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 83; no. 4; pp. 675 - 684
Main Authors 田村, 浩章, 林, 忠毅, 馬場, 健, 西脇, 由朗, 落合, 秀人, 金井, 俊和, 宮﨑, 真一郎, 長谷川, 進一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2022
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.83.675

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Summary:腹部膨隆が主訴の49歳の女性に直径20cm大の卵巣腫瘍が見つかり,原発性卵巣癌として広範リンパ節郭清を伴う子宮全摘術と両側附属器摘除術が施行された.病理学的検索から転移性卵巣腫瘍が疑われ,精査により胃に進行癌が見つかり,外科に紹介され胃全摘術と脾臓摘出術を施行した.病理学的に卵巣転移を伴う胃癌と最終診断(pT4a N3b M1 Stage IV)された.化学療法としてpaclitaxelとcarboplatinを7クール行い,さらにS-1内服を1年間継続した.以後,現在まで17年間再発なく経過している.胃癌の卵巣転移はKrukenberg腫瘍としてよく知られているが,その中でも卵巣先行切除後に胃癌が発見された症例の予後は悪く,長期生存している症例の報告はわずかである.卵巣以外に腹膜を含め遠隔転移がなかったこと,遺残腫瘍がない手術ができたこと,そして化学療法が長期生存につながったと思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.83.675