Chronic Contained Ruptureを来した傍腎動脈腹部大動脈瘤に対してSurgeon-modifiedステントグラフト内挿術を行った一例

Short neckである腹部大動脈瘤への手術介入においては,大動脈瘤の性状を十分に考慮し術式を検討すべきである.症例は78歳男性.3カ月前より右腰痛および右大腿部痛を自覚していた.CTで右腎動脈直下の腹部大動脈から右側および背側に拡大する径90 mm大の仮性動脈瘤を認め,腰椎への侵食が確認された.血行動態は安定しておりchronic contained rupture(CCR)と診断した.開腹既往があり,腹部大動脈瘤に感染がなく,ステントグラフト内挿術(EVAR)の方針とした.傍腎動脈腹部大動脈瘤のため,左腎動脈にはChimney法を,右腎動脈には開窓作成およびbranch挿入を用いた腎動脈...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 32; no. 6; pp. 437 - 441
Main Authors 高橋, 聡, 浅見, 冬樹, 吉井, 新平, 岡本, 竹司, 山本, 和男, 水落, 理絵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 30.11.2023
日本血管外科学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.23-00037

Cover

More Information
Summary:Short neckである腹部大動脈瘤への手術介入においては,大動脈瘤の性状を十分に考慮し術式を検討すべきである.症例は78歳男性.3カ月前より右腰痛および右大腿部痛を自覚していた.CTで右腎動脈直下の腹部大動脈から右側および背側に拡大する径90 mm大の仮性動脈瘤を認め,腰椎への侵食が確認された.血行動態は安定しておりchronic contained rupture(CCR)と診断した.開腹既往があり,腹部大動脈瘤に感染がなく,ステントグラフト内挿術(EVAR)の方針とした.傍腎動脈腹部大動脈瘤のため,左腎動脈にはChimney法を,右腎動脈には開窓作成およびbranch挿入を用いた腎動脈への血行再建を行った.術後に腎機能障害を来さず,腰痛および大腿部痛は消失した.開腹既往をもつshort neck症例に対し分枝再建法を複数組み合わせたEVARが有用であった.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.23-00037