25歳女性の脳性麻痺患者に発症した右側結腸軸捻の1例

右側結腸軸捻は全腸閉塞の0.4%,結腸捻転症の5.9%と稀な疾患である.症例は25歳,女性.重度新生児仮死による脳性麻痺と側彎を認め,噴門形成術,胃瘻造設術,気管切開術後であった.腸閉塞の診断で前医重症心身障害者病棟から転院搬送された.血液検査は炎症反応軽度,CTで右上腹部に拡張した結腸を認めるも閉塞起点は明らかでなく,腹膜刺激徴候もないため,血流障害はきたしていないと判断した.腸管減圧し経過観察するも腹部膨隆が増悪したため,翌日手術を施行した.術中所見は右側結腸が固定されておらず,右上腹部に180度捻転した上行結腸が嵌入していた.捻転腸管に壊死はないものの漿膜損傷とうっ血を認め,再発リスクを...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 6; pp. 904 - 910
Main Authors 齋藤, 敬弘, 伊東, 藤男, 土屋, 貴男, 岡田, 良, 草間, 大輔, 二見, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.84.904

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Summary:右側結腸軸捻は全腸閉塞の0.4%,結腸捻転症の5.9%と稀な疾患である.症例は25歳,女性.重度新生児仮死による脳性麻痺と側彎を認め,噴門形成術,胃瘻造設術,気管切開術後であった.腸閉塞の診断で前医重症心身障害者病棟から転院搬送された.血液検査は炎症反応軽度,CTで右上腹部に拡張した結腸を認めるも閉塞起点は明らかでなく,腹膜刺激徴候もないため,血流障害はきたしていないと判断した.腸管減圧し経過観察するも腹部膨隆が増悪したため,翌日手術を施行した.術中所見は右側結腸が固定されておらず,右上腹部に180度捻転した上行結腸が嵌入していた.捻転腸管に壊死はないものの漿膜損傷とうっ血を認め,再発リスクを考慮し捻転腸管を切除し機能的端々吻合で再建した.術後経過は良好であった.精神発達遅滞者に本症を発症した場合,術前診断が困難な場合があるが24時間以内に捻転整復の要否を判断し,再発リスクを考慮した腸管切除も常に念頭に置く必要がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.904