炭酸カルシウム結石と石灰乳胆汁を合併した6歳女児胆嚢炎の1例

症例は6歳,女児.食後の腹痛を繰り返すため,前医を受診.造影CT・MRCPにて胆石症が疑われ,当科へ紹介となった.腹部X線検査にて胆嚢の石灰化像と前医CTにて胆嚢内に高輝度の鏡面像を認め,石灰乳胆汁を疑った.受診時,肝胆道系酵素の上昇や炎症所見はなく,鎮痛薬にて疼痛管理は良好であったため,全身麻酔下ERCPを施行した.膵胆管合流異常症はなく,胆嚢管から胆嚢頸部の欠損像と胆嚢管の総胆管への低位合流を認めた.胆嚢管の結石はガイドワイヤーによる移動は不可能であった.胆嚢管の結石嵌頓による石灰乳胆汁が原因の腹痛発作,胆嚢炎と診断した.腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った.術中所見では,胆嚢頸部に高度の炎症を認め...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 6; pp. 922 - 927
Main Authors 大津, 一弘, 平原, 慧
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.84.922

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Summary:症例は6歳,女児.食後の腹痛を繰り返すため,前医を受診.造影CT・MRCPにて胆石症が疑われ,当科へ紹介となった.腹部X線検査にて胆嚢の石灰化像と前医CTにて胆嚢内に高輝度の鏡面像を認め,石灰乳胆汁を疑った.受診時,肝胆道系酵素の上昇や炎症所見はなく,鎮痛薬にて疼痛管理は良好であったため,全身麻酔下ERCPを施行した.膵胆管合流異常症はなく,胆嚢管から胆嚢頸部の欠損像と胆嚢管の総胆管への低位合流を認めた.胆嚢管の結石はガイドワイヤーによる移動は不可能であった.胆嚢管の結石嵌頓による石灰乳胆汁が原因の腹痛発作,胆嚢炎と診断した.腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った.術中所見では,胆嚢頸部に高度の炎症を認め,慢性胆嚢炎の所見であった.周術期合併症なく術後4日目に退院となった.以降,腹痛発作は認めていない.石灰乳胆汁の小児報告例は稀であり,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.922