慢性骨髄単球性白血病の経過中に敗血症性ショックに至った1例

71歳,男性。他院で慢性骨髄単球性白血病(chronic myelomonocytic leukemia:以下,CMML)で通院中であった。近医より急性胆囊炎による敗血症性ショックの診断で当センターへ転院となり,緊急で開腹胆囊摘出術を施行した。術中,回腸末端漿膜面に軽度の発赤を認めたが,明らかな壊死は認めなかった。術後,循環動態はさらに悪化し,アドレナリンの持続投与を要した。初回手術時の回腸末端の病変が悪化したものと考えて再開腹したところ,同部位に壊死は認めなかったが,発赤,浮腫は増悪し,漿膜からの出血も認めた。同部位を切除したところ,術後12時間でショックから離脱し得た。切除標本の病理は粘膜...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 41; no. 3; pp. 155 - 158
Main Authors 福島, 英賢, 森田, 剛平, 川井, 廉之, 瓜園, 泰之, 宮﨑, 敬太, 木下, 有紗, 大林, 千穂, 堀口, 桃子, 高野, 啓佑
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.03.2021
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.41.3_155

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Summary:71歳,男性。他院で慢性骨髄単球性白血病(chronic myelomonocytic leukemia:以下,CMML)で通院中であった。近医より急性胆囊炎による敗血症性ショックの診断で当センターへ転院となり,緊急で開腹胆囊摘出術を施行した。術中,回腸末端漿膜面に軽度の発赤を認めたが,明らかな壊死は認めなかった。術後,循環動態はさらに悪化し,アドレナリンの持続投与を要した。初回手術時の回腸末端の病変が悪化したものと考えて再開腹したところ,同部位に壊死は認めなかったが,発赤,浮腫は増悪し,漿膜からの出血も認めた。同部位を切除したところ,術後12時間でショックから離脱し得た。切除標本の病理は粘膜の広範囲の脱落とCMML細胞の浸潤が認められ,循環不全に至った機序として,腸管上皮脱落からのbacterial translocationが生じたものと考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.41.3_155