BEACONレジメン施行後に病理学的CRを認めたBRAF変異再発横行結腸癌の1例

症例は78歳の女性で,肝彎曲部の横行結腸癌に対して結腸右半切除術を施行した.組織学的に低分化型腺癌,RAS変異陰性,BRAF変異陽性,MSI-Hであった.剥離断端陽性であったため,術後4週からmFOLFOX6を施行した.3コース終了後,造影CTで膵頭部腹側に50mm,右大腰筋腹側に尿管を巻き込む42mm大の再発を指摘された.既往歴にBasedow病があるため,pembrolizumabによる免疫関連有害事象としての甲状腺中毒症の危険性を考慮した結果,二次治療としてencorafenib+binimetinib+cetuximab療法を開始した.9コース終了後に腫瘍は軟部陰影を残すのみで消失し,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 5; pp. 773 - 778
Main Authors 菅谷, 慎祐, 中村, 健也, 渡邉, 隆之, 春日, 好雄, 中田, 岳成, 上原, 剛, 沖田, 浩一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.84.773

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Summary:症例は78歳の女性で,肝彎曲部の横行結腸癌に対して結腸右半切除術を施行した.組織学的に低分化型腺癌,RAS変異陰性,BRAF変異陽性,MSI-Hであった.剥離断端陽性であったため,術後4週からmFOLFOX6を施行した.3コース終了後,造影CTで膵頭部腹側に50mm,右大腰筋腹側に尿管を巻き込む42mm大の再発を指摘された.既往歴にBasedow病があるため,pembrolizumabによる免疫関連有害事象としての甲状腺中毒症の危険性を考慮した結果,二次治療としてencorafenib+binimetinib+cetuximab療法を開始した.9コース終了後に腫瘍は軟部陰影を残すのみで消失し,画像上完全奏効が得られた.一方,infusion reactionのため同レジメンの継続が困難となった.治癒切除可能と判断し膵頭十二指腸切除術および右尿管合併切除再建を施行したところ,病理組織学的に腫瘍細胞は認めなかった.BRAF変異大腸癌に対する化学療法では,病理学的に完全奏効と判断された報告は本邦初と思われるため報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.773