大動脈中膜に囊状壊死を認めた多発性囊胞腎合併大動脈解離の1例

症例は34歳の男性で,以前より高血圧を指摘されていた.胸痛を主訴に他院を受診し,急性大動脈解離の診断で当院へ搬送された.造影CT検査および心臓超音波検査で急性大動脈解離Stanford A型,大動脈弁閉鎖不全症,心タンポナーデおよび多発性囊胞腎(PKD)を認めたため,緊急でBentall術(SJM機械弁25 mm+Carboseal人工血管28 mm)を施行した.術後は腎機能増悪もなく経過は良好で,術後14日に独歩退院した.病理学的検査では大動脈中膜に囊状壊死を認めた.PKDに合併したStanford A型大動脈解離に対する緊急Bentall術は極めて稀で,われわれが調べ得た範囲では術後大動脈...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 29; no. 1; pp. 43 - 46
Main Authors 緑川, 博文, 武富, 龍一, 植野, 恭平, 影山, 理恵, 菅野, 惠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 20.02.2020
日本血管外科学会
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.19-00033

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Summary:症例は34歳の男性で,以前より高血圧を指摘されていた.胸痛を主訴に他院を受診し,急性大動脈解離の診断で当院へ搬送された.造影CT検査および心臓超音波検査で急性大動脈解離Stanford A型,大動脈弁閉鎖不全症,心タンポナーデおよび多発性囊胞腎(PKD)を認めたため,緊急でBentall術(SJM機械弁25 mm+Carboseal人工血管28 mm)を施行した.術後は腎機能増悪もなく経過は良好で,術後14日に独歩退院した.病理学的検査では大動脈中膜に囊状壊死を認めた.PKDに合併したStanford A型大動脈解離に対する緊急Bentall術は極めて稀で,われわれが調べ得た範囲では術後大動脈組織から囊状中膜壊死を証明した報告はなかった.PKDの合併症として急性大動脈解離があることを念頭に入れ,適切な発症予防と治療方針が必要と考えられた.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.19-00033