腸管皮膚瘻の膿瘍ドレナージ洗浄に脊髄くも膜下鎮痛が有効であった1例

腸管皮膚瘻に膿瘍を形成し敗血症の危機にある患者に対し,脊髄くも膜下鎮痛法により洗浄ドレナージ管理を可能とし,重篤な皮膚感染を改善させた症例を報告する.症例は54歳の男性.直腸がんによる腸管皮膚瘻から皮膚感染が拡大し,肛門から臀部にかけ広範囲な皮下膿瘍が形成されたため洗浄ドレナージが必要となった.しかし静脈内持続フェンタニル100 µg/h投与下でも,激痛のため洗浄ドレナージ処置が困難であった.継続した洗浄ドレナージを必要としたため,0.5 %等比重ブピバカインを使用して脊髄くも膜下鎮痛を行った.ブピバカインとモルヒネを用いた脊髄くも膜下鎮痛処置により処置の際の痛みを和らげることができ,ドレナー...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 23; no. 2; pp. 110 - 113
Main Authors 山縣, 克之, 古井, 郁恵, 尾崎, 眞, 畔柳, 綾, 服部, 政治, 樋口, 秀行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本ペインクリニック学会 2016
日本ペインクリニック学会
Subjects
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ISSN1340-4903
1884-1791
DOI10.11321/jjspc.14-0017

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Summary:腸管皮膚瘻に膿瘍を形成し敗血症の危機にある患者に対し,脊髄くも膜下鎮痛法により洗浄ドレナージ管理を可能とし,重篤な皮膚感染を改善させた症例を報告する.症例は54歳の男性.直腸がんによる腸管皮膚瘻から皮膚感染が拡大し,肛門から臀部にかけ広範囲な皮下膿瘍が形成されたため洗浄ドレナージが必要となった.しかし静脈内持続フェンタニル100 µg/h投与下でも,激痛のため洗浄ドレナージ処置が困難であった.継続した洗浄ドレナージを必要としたため,0.5 %等比重ブピバカインを使用して脊髄くも膜下鎮痛を行った.ブピバカインとモルヒネを用いた脊髄くも膜下鎮痛処置により処置の際の痛みを和らげることができ,ドレナージ処置を連日行うことが可能になり,重篤な皮膚感染は改善した.
ISSN:1340-4903
1884-1791
DOI:10.11321/jjspc.14-0017