トロンボポエチン受容体作動薬で周術期管理を行ったITP併存乳癌の1例

特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura: ITP)は血小板減少をきたす自己免疫疾患である.トロンボポエチン受容体作動薬(thrombopoietin receptor agonists:TPO-RA)はステロイド療法が無効時に二次治療として使用する新規薬剤であり,TPO-RAを使用した周術期管理について有効性や安全性の報告は少ない.症例は76歳,女性.ITPを合併した乳癌に対して右乳房全切除+センチネルリンパ節生検を施行した.術前よりTPO-RAであるエルトロンボパグを使用して血小板数のコントロールを行った.術後に血小板数が低下したが出...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 83; no. 1; pp. 39 - 45
Main Authors 高, すみれ, 村田, 建一郎, 永田, 好香, 河野, 伸次, 藤川, 貴久, 佐伯, 俊宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2022
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.83.39

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Summary:特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura: ITP)は血小板減少をきたす自己免疫疾患である.トロンボポエチン受容体作動薬(thrombopoietin receptor agonists:TPO-RA)はステロイド療法が無効時に二次治療として使用する新規薬剤であり,TPO-RAを使用した周術期管理について有効性や安全性の報告は少ない.症例は76歳,女性.ITPを合併した乳癌に対して右乳房全切除+センチネルリンパ節生検を施行した.術前よりTPO-RAであるエルトロンボパグを使用して血小板数のコントロールを行った.術後に血小板数が低下したが出血傾向を認めなかったため,エルトロンボパグの増量のみで安全に管理できた.われわれが調べえた範囲では,ITP合併症例に対して周術期にTPO-RAを投与した報告は8例であり,乳癌症例の報告は確認できなかった.通常待機的に行われる乳癌の手術において,副作用が比較的軽度なTPO-RAの予防的な使用は周術期管理の有効な手段となり得ると思われる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.83.39