社交不安傾向者における援助者の自己開示に対する選好の検討

社交不安傾向者は,専門的支援を継続的に利用しにくいことが示されている。専門的支援の初期段階において,援助者の自己開示の効果が示唆されている。しかし,社交不安傾向者が援助者の自己開示に対して,どのような印象を抱くかについては,十分に検討されていない。そこで本研究では,一般成人240名に対してオンライン質問紙調査を実施し,社交不安傾向者が,援助者の自己開示に対する選好や,恐れをどの程度抱くかについて検討した。相関分析およびパス解析の結果,社交不安傾向者は援助者の自己開示に対して恐れを抱きやすく,特に否定的・肯定的な評価に対する恐れが直接的に影響していることが示された。以上の結果より,面接初期におい...

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Published in不安症研究 Vol. 15; no. 1; pp. 47 - 57
Main Authors 佐々木, 淳, 鈴木, 孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本不安症学会 30.11.2023
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ISSN2188-7578
2188-7586
DOI10.14389/jsad.15.1_47

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Summary:社交不安傾向者は,専門的支援を継続的に利用しにくいことが示されている。専門的支援の初期段階において,援助者の自己開示の効果が示唆されている。しかし,社交不安傾向者が援助者の自己開示に対して,どのような印象を抱くかについては,十分に検討されていない。そこで本研究では,一般成人240名に対してオンライン質問紙調査を実施し,社交不安傾向者が,援助者の自己開示に対する選好や,恐れをどの程度抱くかについて検討した。相関分析およびパス解析の結果,社交不安傾向者は援助者の自己開示に対して恐れを抱きやすく,特に否定的・肯定的な評価に対する恐れが直接的に影響していることが示された。以上の結果より,面接初期においては,クライエントの語りを理解した旨をあたたかく伝えるような,保証の自己開示に限って使用し,それ以外の自己開示については慎重に使用することが有効であると考えられた。
ISSN:2188-7578
2188-7586
DOI:10.14389/jsad.15.1_47