高齢者気管支喘息患者における追加治療法の選択 ロイコトリエン受容体拮抗薬 (ザフィルルカスト) と吸入ステロイド薬 (フルチカゾンプロピオネート) との比較検討
目的: 高齢者気管支喘息患者に対する追加治療としての吸入ステロイドの増量治療とロイコトリエン受容体拮抗薬の追加投与治療を比較検討する.対象・方法: 気道過敏性が亢進している中等症持続型気管支喘息患者に対して本検討を行った. 全例フルチカゾンプロピオネート (fluticasone propionate dry powderinhaler: FDP) 400μgが投与されており, 65歳以上の高齢者群と65歳未満の若年者群に分類し, ザフィルルカスト40mg (Leukotriene receptor antagonist: LTRA) の追加投与 (高齢者n=5, 若年者n=11) とFDP4...
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Published in | 順天堂医学 Vol. 55; no. 3; pp. 303 - 308 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
順天堂医学会
30.09.2009
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Subjects | |
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ISSN | 0022-6769 2188-2134 |
DOI | 10.14789/pjmj.55.303 |
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Summary: | 目的: 高齢者気管支喘息患者に対する追加治療としての吸入ステロイドの増量治療とロイコトリエン受容体拮抗薬の追加投与治療を比較検討する.対象・方法: 気道過敏性が亢進している中等症持続型気管支喘息患者に対して本検討を行った. 全例フルチカゾンプロピオネート (fluticasone propionate dry powderinhaler: FDP) 400μgが投与されており, 65歳以上の高齢者群と65歳未満の若年者群に分類し, ザフィルルカスト40mg (Leukotriene receptor antagonist: LTRA) の追加投与 (高齢者n=5, 若年者n=11) とFDP400μgの増量 (高齢者n=5, 若年者n=8) の追加治療を行った. 治療効果を追加投与開始時と追加投与4, 8週間後に気道過敏性を含めた呼吸機能により検討した.結果: 高齢者では気道過敏性がLTRA追加投与群 (8週間後) のみに有意な改善を認めた (P=0.04). 一方, 若年者のFDP増量群では投与開始4週間後 (P=0.04), 8週間後 (P=0.04) に有意な改善を認め, LTRA追加投与群でも投与開始8週間後で有意な改善を認めた (P=0.01), 全ての群で一秒量の有意な改善はなく, 開始前後で末梢血総IgE値, 好酸球数の有意な変化は認められなかった.結論: 高齢者気管支喘息患者において, LTRAの追加投与はFDP増量に比較して優位に気道過敏性改善効果が得られた. 高齢者気管支喘息症例の追加投与薬は吸入ステロイド薬 (inhaled corticosteroid: ICS) 増量よりLTRAの方がより効果的である可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0022-6769 2188-2134 |
DOI: | 10.14789/pjmj.55.303 |