完全房室ブロックが先行した急性心筋炎の2例

症例は2症例とも70歳代,男性であり,一過性意識消失で当院救急搬送となり,来院時心電図で完全房室ブロック波形を認めた.緊急で体外式ペースメーカを挿入.いずれの症例も来院時の左室収縮機能は正常で心電図上のST-T変化も認めず,完全房室ブロック以外の所見はなかった.しかし入院後に発熱が出現し,左室収縮機能障害が出現.左室心筋生検を施行し,リンパ球性心筋炎(病理診断)となった.1症例目は第7病日,2症例目は第13病日に自己脈が回復し,恒久的ペースメーカを留置することなく体外式ペースメーカを抜去し,退院することができた.急性心筋炎は多彩な症状をとるものの,一般的には感冒症状や消化器症状などの前駆症状を...

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Published in心臓 Vol. 54; no. 10; pp. 1170 - 1176
Main Authors 吉村, 喬樹, 郡司, 尚玲, 大江, 勇太郎, 奥山, 道記, 上原, 拓樹, 神田, 芽生, 鈴木, 隆司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.10.2022
日本心臓財団・日本循環器学会
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.54.1170

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Summary:症例は2症例とも70歳代,男性であり,一過性意識消失で当院救急搬送となり,来院時心電図で完全房室ブロック波形を認めた.緊急で体外式ペースメーカを挿入.いずれの症例も来院時の左室収縮機能は正常で心電図上のST-T変化も認めず,完全房室ブロック以外の所見はなかった.しかし入院後に発熱が出現し,左室収縮機能障害が出現.左室心筋生検を施行し,リンパ球性心筋炎(病理診断)となった.1症例目は第7病日,2症例目は第13病日に自己脈が回復し,恒久的ペースメーカを留置することなく体外式ペースメーカを抜去し,退院することができた.急性心筋炎は多彩な症状をとるものの,一般的には感冒症状や消化器症状などの前駆症状を伴うことが多く,左室収縮機能障害に伴う心不全や胸痛,心嚢水を伴うことが多い.体外式ペースメーカを比較的長期間使用することで恒久的ペースメーカ留置を回避することができた完全房室ブロック先行の急性心筋炎を経験したため,文献的考察を加えてここに報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.54.1170