磁気免疫染色法に用いるドーム型磁石形状の検討

磁石と抗体標識蛍光磁気ビーズを用いた磁気免疫染色法は,ビーズに内包されたフェライトを磁石により磁化し,組織切片上にすばやく引き付けることで,わずか数分で抗原抗体反応を完了させることができる手法である.しかし,磁石表面が平面だと,磁石中央と磁石端での磁力に不均一性が生じるため,磁石端にビーズが集まりやすくなり,適切な転移診断を行うことができない.そこで,本研究ではビーズを組織切片全体に均一に引き寄せるため,均一な磁力を発生させることができるドーム型の磁石を提案した.数値解析では,磁石に対して,垂直方向と半径方向の磁力(以下,FzとFxとする)を算出した.ドーム形状の評価を行うために,磁石表面の曲...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual56; no. Abstract; p. S402
Main Authors 坂本, 聡, 斉藤, 逸郎, 隣, 真一, 松田, 祐子, 桑波田, 晃弘, 関野, 正樹, 並田, 将幸, 金子, 美樹, 日下部, 守昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2018
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual56.S402

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Summary:磁石と抗体標識蛍光磁気ビーズを用いた磁気免疫染色法は,ビーズに内包されたフェライトを磁石により磁化し,組織切片上にすばやく引き付けることで,わずか数分で抗原抗体反応を完了させることができる手法である.しかし,磁石表面が平面だと,磁石中央と磁石端での磁力に不均一性が生じるため,磁石端にビーズが集まりやすくなり,適切な転移診断を行うことができない.そこで,本研究ではビーズを組織切片全体に均一に引き寄せるため,均一な磁力を発生させることができるドーム型の磁石を提案した.数値解析では,磁石に対して,垂直方向と半径方向の磁力(以下,FzとFxとする)を算出した.ドーム形状の評価を行うために,磁石表面の曲率半径を20mm間隔で35mmから115mmまで変化させ,各磁石での磁力の比較を行った.Fzの均一性の評価には,磁石中心のFzに対するFzの最大変化量,Fxの均一性の評価には,Fxの最大値に対する最小値の変化量を用いた.磁石の半径と高さは,それぞれ18mmと24mmである.解析の結果,同じサイズの円柱磁石では,Fzの最大変化量が約144%,Fxの最小変化量が約6.4%であるのに対し,磁石表面の曲率半径55mmのドーム型磁石では,Fzの最大変化量は約31%であり,それ以外の曲率半径では,47%以上であった.また,Fxの最小変化量は,曲率半径35mmと55mmにおいて,それぞれ約5.3%と約5.7%であった.以上の結果は,曲率半径55mmが最適であることを示した.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual56.S402