後天性免疫不全症候群に伴い全身性筋力低下および低栄養状態を呈した患者に対する理学療法経験

【目的】後天性免疫不全症候群(以下,AIDS)を呈し,治療中に全身性筋力低下を生じた症例に対する理学療法を経験した。免疫能低下および低栄養に留意し,良好な結果を得たため報告する。【方法】症例はAIDS 治療目的に入院した50 歳代男性。前医でのニューモスチシスカリニ肺炎(PCP)治療中の長期臥床や低栄養に伴う二次性サルコペニアにより全身性に筋力低下が生じ基本動作は全介助だった。第17 病日よりCD4 陽性T リンパ球(以下,CD4 値)200/mm3 を超えた時点から低負荷での介入を行った。【経過】免疫能および栄養状態の増悪なく筋力改善が得られ,第81 病日に独歩で自宅退院した。【結論】全身性...

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Published in理学療法学 Vol. 48; no. 1; pp. 102 - 107
Main Authors 笹沼, 直樹, 道免, 和久, 児玉, 典彦, 曽田, 幸一朗, 内山, 侑紀, 宮城, 陽平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士学会 2021
日本理学療法士協会
Subjects
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ISSN0289-3770
2189-602X
DOI10.15063/rigaku.11813

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Summary:【目的】後天性免疫不全症候群(以下,AIDS)を呈し,治療中に全身性筋力低下を生じた症例に対する理学療法を経験した。免疫能低下および低栄養に留意し,良好な結果を得たため報告する。【方法】症例はAIDS 治療目的に入院した50 歳代男性。前医でのニューモスチシスカリニ肺炎(PCP)治療中の長期臥床や低栄養に伴う二次性サルコペニアにより全身性に筋力低下が生じ基本動作は全介助だった。第17 病日よりCD4 陽性T リンパ球(以下,CD4 値)200/mm3 を超えた時点から低負荷での介入を行った。【経過】免疫能および栄養状態の増悪なく筋力改善が得られ,第81 病日に独歩で自宅退院した。【結論】全身性に筋力低下を生じたAIDS 患者に対し,免疫能および低栄養の増悪のないよう包括的な介入を行った。運動療法ではリカンベント式エルゴメータを用いた低負荷運動により,CD4 値の低下なく筋力改善および基本動作改善が得られた。
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.11813