大動脈弁置換術,中隔心筋切除術後に残存した左室流出路狭窄に対して経皮的中隔心筋焼灼術が奏功した重症大動脈弁狭窄症の1例

症例は67歳,女性.労作時呼吸困難を主訴に来院した.心エコーでは典型的な大動脈弁狭窄症の所見を認め,連続波ドプラ法では左室大動脈間の圧較差が71 mmHgであった.また,左室肥大および僧帽弁収縮期前方運動を認め,左室流出路狭窄を合併していると考えられた.心臓カテーテル検査ではシベンゾリン負荷にて左室流出路狭窄を軽減させた状態で,左室大動脈間平均圧較差は59 mmHg,大動脈弁口面積は0.47 cm2であった.冠動脈造影では右冠動脈近位部に高度狭窄を認め,冠動脈疾患と左室流出路狭窄を合併した重症大動脈弁狭窄症と診断した.心臓血管外科にて大動脈弁置換術,心筋切除術,冠動脈バイパス術を施行した.術後...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 51; no. 11; pp. 1192 - 1199
Main Authors 山口, 祐美, 仲尾, 政晃, 栁川, 貴央, 高野, 俊樹, 柏村, 健, 南野, 徹, 名村, 理, 高山, 亜美, 小澤, 拓也, 松尾, 聖, 保屋野, 真, 尾崎, 和幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.11.2019
日本心臓財団・日本循環器学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.51.1192

Cover

More Information
Summary:症例は67歳,女性.労作時呼吸困難を主訴に来院した.心エコーでは典型的な大動脈弁狭窄症の所見を認め,連続波ドプラ法では左室大動脈間の圧較差が71 mmHgであった.また,左室肥大および僧帽弁収縮期前方運動を認め,左室流出路狭窄を合併していると考えられた.心臓カテーテル検査ではシベンゾリン負荷にて左室流出路狭窄を軽減させた状態で,左室大動脈間平均圧較差は59 mmHg,大動脈弁口面積は0.47 cm2であった.冠動脈造影では右冠動脈近位部に高度狭窄を認め,冠動脈疾患と左室流出路狭窄を合併した重症大動脈弁狭窄症と診断した.心臓血管外科にて大動脈弁置換術,心筋切除術,冠動脈バイパス術を施行した.術後,心電図は完全左脚ブロックへ変化し,労作時の呼吸困難が残存した.心エコーでは左室流出路に50 mmHgの圧較差が残存し,僧帽弁収縮期前方運動も認められた.心臓カテーテル検査の再検ではドブタミン負荷にて左室流出路の圧較差は84 mmHgまで上昇した.左室流出路狭窄の残存に対して経皮的中隔心筋焼灼術を施行し,術中に完全房室ブロックとなったが,術後の圧較差はドブタミン負荷でも20 mmHgまで低下し,労作時呼吸困難は軽快した.左室流出路狭窄合併の重症大動脈弁狭窄症に対する根治的非薬物治療は,大動脈弁置換術および中隔心筋切除術であるが,左室流出路狭窄の残存に対して経皮的中隔心筋焼灼術が有用である可能性が示唆された.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.51.1192