A看護大学公衆衛生看護学実習における実習前後の調査からみた教育効果の検討 「保健師教育に求められる実践能力と卒業時の到達目標と到達度」を用いた学生の自己評価からの考察

社会情勢の変化に伴い,高度な実践力をもった保健師の養成が期待されている。「保健師教育に求められる実践能力と卒業時の到達目標と到達度(以下;MR)」及び研究者が設定した項目を用い,A看護大学の公衆衛生看護学の教育手法に関する検討を学生の自己評価を用いて行なうことを目的とした。質問紙調査法を用い,MR 71項目及び「保健師としての活動の希望」3項目を公衆衛生看護学実習(以下;実習)前後で比較した。また,研究者が独自に設定した「グループテーマ報告書に関する項目」8項目は実習後に回答を得た。研究対象者へ本研究の趣旨を文書にて説明し研究参加への同意を確認した。  A看護大学の保健師課程を選択した53名か...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 68; no. 1; pp. 31 - 44
Main Authors 南部, 泰士, 萩原, 智代
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2019
日本農村医学会
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ISSN0468-2513
1349-7421
DOI10.2185/jjrm.68.31

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Summary:社会情勢の変化に伴い,高度な実践力をもった保健師の養成が期待されている。「保健師教育に求められる実践能力と卒業時の到達目標と到達度(以下;MR)」及び研究者が設定した項目を用い,A看護大学の公衆衛生看護学の教育手法に関する検討を学生の自己評価を用いて行なうことを目的とした。質問紙調査法を用い,MR 71項目及び「保健師としての活動の希望」3項目を公衆衛生看護学実習(以下;実習)前後で比較した。また,研究者が独自に設定した「グループテーマ報告書に関する項目」8項目は実習後に回答を得た。研究対象者へ本研究の趣旨を文書にて説明し研究参加への同意を確認した。  A看護大学の保健師課程を選択した53名から回答を得た(回収率,有効回答率共に100.0%)。MRにて実習前後を比較したところ,実習後の到達割合は有意に高かったが,到達割合が70%に達しなかった項目は実践能力「Ⅲ.健康危機管理能力」であった。今後,学内での教育内容や方法を検討し,保健師教育の充実を更に図る必要がある。また,実習を終えた後の保健師としての活動の希望は,資格取得という目的よりも看護職として保健師独自の視点や技術を身に付ける,将来的な保健師というキャリアの選択肢を広げるという目的があることが考えられた。グループテーマ報告書の作成により,学生同士のグループダイナミクスの促進や教員・指導者との積極的な関わりについて学生に大きな影響を与えていることが示唆された。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.68.31