心不全治療に難渋した,強皮症背景の収縮性心膜炎の1例

全身性強皮症に心膜炎が合併することは広く知られている.しかし収縮性心膜炎への移行例は稀である.症例は60代男性.20XX年に強皮症と診断,8年後に心膜液貯留を指摘された.18年後,呼吸困難感,全身浮腫を主訴に救急受診.心エコー上,以前認めた心膜液は著明に減少し,心膜は8 mmに肥厚していた.カテーテル検査による心内圧測定では収縮性の血行動態を示しており,強皮症を背景とした収縮性心膜炎と診断した.利尿薬への反応は乏しく,ステロイド治療も効果を認めなかった.また心膜剝離術については血行動態が安定せず,施行困難であった.心不全コントロールに難渋し,第80病日に永眠された.強皮症に伴う心膜炎が収縮性心...

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Published in心臓 Vol. 51; no. 10; pp. 1050 - 1056
Main Authors 加藤, 武史, 濱岡, 卓人, 竹内, 一喬, 薄井, 荘一郎, 古荘, 浩司, 村井, 久純, 金子, 周一, 新庄, 祐介, 高村, 雅之, 徳久, 英樹, 高島, 伸一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.10.2019
日本心臓財団・日本循環器学会
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.51.1050

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Summary:全身性強皮症に心膜炎が合併することは広く知られている.しかし収縮性心膜炎への移行例は稀である.症例は60代男性.20XX年に強皮症と診断,8年後に心膜液貯留を指摘された.18年後,呼吸困難感,全身浮腫を主訴に救急受診.心エコー上,以前認めた心膜液は著明に減少し,心膜は8 mmに肥厚していた.カテーテル検査による心内圧測定では収縮性の血行動態を示しており,強皮症を背景とした収縮性心膜炎と診断した.利尿薬への反応は乏しく,ステロイド治療も効果を認めなかった.また心膜剝離術については血行動態が安定せず,施行困難であった.心不全コントロールに難渋し,第80病日に永眠された.強皮症に伴う心膜炎が収縮性心膜炎に移行することは稀だが,予後不良の疾患である.今回その1例を経験したので,文献的考察を含め報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.51.1050