遅発性破裂をきたした外傷性S状結腸間膜仮性動脈瘤の1例

症例は60歳の男性,交通事故による鈍的腹部外傷で救急搬送された。腹部造影CT検査でS状結腸腸間膜に仮性動脈瘤を疑う所見および不安定型骨盤骨折を認めたが,腹腔内出血や血腫は認めなかった。救急外来で骨盤骨折に対し創外固定術を行った後,再度腹部CTを施行し新たな異常を認めず保存的治療の方針で入院した。入院後,血圧が60mmHg台に低下しショックとなった。輸血投与を行ったが血圧は安定せず,受傷7時間後に再度腹部CTを施行し,腹腔内に大量の血液像とS状結腸間膜付近に造影剤漏出像を認めた。腸間膜損傷部からの遅発性出血と診断し緊急開腹手術を行った。開腹すると約2,500mLの血液貯留およびS状結腸外側の腹膜...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 43; no. 1; pp. 63 - 67
Main Authors 中村, 真司, 畑, 倫明, 日並, 淳介, 我如古, 理規, 水野, 礼
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.01.2023
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.43.63

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Summary:症例は60歳の男性,交通事故による鈍的腹部外傷で救急搬送された。腹部造影CT検査でS状結腸腸間膜に仮性動脈瘤を疑う所見および不安定型骨盤骨折を認めたが,腹腔内出血や血腫は認めなかった。救急外来で骨盤骨折に対し創外固定術を行った後,再度腹部CTを施行し新たな異常を認めず保存的治療の方針で入院した。入院後,血圧が60mmHg台に低下しショックとなった。輸血投与を行ったが血圧は安定せず,受傷7時間後に再度腹部CTを施行し,腹腔内に大量の血液像とS状結腸間膜付近に造影剤漏出像を認めた。腸間膜損傷部からの遅発性出血と診断し緊急開腹手術を行った。開腹すると約2,500mLの血液貯留およびS状結腸外側の腹膜損傷部からの活動性出血を認め,縫合止血した。術後経過は良好であり整形外科に転科した。腹部外傷患者の診療において,腸間膜損傷に伴う遅発性仮性動脈瘤破裂の可能性に留意し診療を行う必要がある。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.43.63