非接触COPD(慢性閉塞性肺疾患)スクリーニングシステムの開発

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は大気汚染や喫煙により発症しCOPDによる死亡者数は世界的に増加傾向にある.COPDの診断ではマウスピースを口に咥えるスパイロメーターが用いられるが,医療従事者の立会が必須である.本研究では,非接触計測が可能でマウスピースを使用しないために医療従事者の立会を必要せず,スパイロメーターと同等の診断が可能なCOPDスクリーニングシステムを開発する.COPDスクリーニングシステムは座位の被測定者の正面から胸郭の呼吸運動を捉える出力10mW,周波数24GHzのドップラーレーダーと,椅子の背面に設置した体動除去用の同規格のドップラーレーダーで構成される.位相が90℃異なるドッ...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual56; no. Abstract; p. S271
Main Authors 佐藤, 正平, 松井, 岳巳, 孫, 光鎬, 峯下, 昌道, 高本, 裕紀, 西根, 広樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2018
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual56.S271

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Summary:慢性閉塞性肺疾患(COPD)は大気汚染や喫煙により発症しCOPDによる死亡者数は世界的に増加傾向にある.COPDの診断ではマウスピースを口に咥えるスパイロメーターが用いられるが,医療従事者の立会が必須である.本研究では,非接触計測が可能でマウスピースを使用しないために医療従事者の立会を必要せず,スパイロメーターと同等の診断が可能なCOPDスクリーニングシステムを開発する.COPDスクリーニングシステムは座位の被測定者の正面から胸郭の呼吸運動を捉える出力10mW,周波数24GHzのドップラーレーダーと,椅子の背面に設置した体動除去用の同規格のドップラーレーダーで構成される.位相が90℃異なるドップラーレーダーのI,Q出力に逆正接復調処理とアンラッピング処理を行い胸郭の呼吸運動を求め,被測定者の前と後に設置するレーダーで計測する体動は位相が180°異なることを利用して体動を除去する.精度検証のために,健常な男子大学生5名(男性5人,平均22.6歳±1歳)を対象とし,健常モデル(通常のスパイロメーター吹き込み口)、疑似COPDモデル(スパイロメーター吹き込み口の反対側にストロー(直径0.6mm,長さ21cm)を装着)のそれぞれに対して2回ずつ計測を行いCOPDに伴う気管支狭窄の影響を受ける1秒率(最初の1秒間で吐き出した量/努力性肺活量)を求めた.提案法で得られた1秒率とスパイロメーターによる1秒率には高い相関が認められ(r=0.93),100%の感度と特異度が得られた(閾値=1秒率70%).
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual56.S271