遠位端側神経縫合時における二重神経支配の可能性についての検討

目的: 端側神経縫合によって二つのルートからの再生神経を促すモデルにおいて, 二重神経支配の可能性について検討した.対象: 体重350-450gのウイスター系ラット雄を10匹用いた. また今回の実験の実験動物は『順天堂大学医学部動物実験に関する指針』に従った.方法: ラットの坐骨神経を採取し, 右正中神経から左正中神経に交叉神経移植を行なった. 左右の正中神経とは端側縫合を行い, 左正中神経は端側縫合部より近位で切断した. ここで, 左正中神経を切断したままの群 (I群) と直ちに再縫合を行う群 (II群) に分けた. 乾燥筋重量の比較, 電気生理学的検査, 組織学的検査, 神経トレーサーを用...

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Published in順天堂医学 Vol. 53; no. 1; pp. 89 - 96
Main Authors 市田, 祐之, 林, 礼人, 梁井, 皎, 小室, 裕造
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 順天堂医学会 2007
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ISSN0022-6769
2188-2134
DOI10.14789/pjmj.53.89

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Summary:目的: 端側神経縫合によって二つのルートからの再生神経を促すモデルにおいて, 二重神経支配の可能性について検討した.対象: 体重350-450gのウイスター系ラット雄を10匹用いた. また今回の実験の実験動物は『順天堂大学医学部動物実験に関する指針』に従った.方法: ラットの坐骨神経を採取し, 右正中神経から左正中神経に交叉神経移植を行なった. 左右の正中神経とは端側縫合を行い, 左正中神経は端側縫合部より近位で切断した. ここで, 左正中神経を切断したままの群 (I群) と直ちに再縫合を行う群 (II群) に分けた. 乾燥筋重量の比較, 電気生理学的検査, 組織学的検査, 神経トレーサーを用いた縫合部の観察等を行い検討した. 結果: 乾燥筋重量, 左正中神経遠位部の神経線維数は両群に有意差を認めなかった. 電気生理学的検査ではII群における二重神経支配が示唆された. また, 縫合部における両ルートからの再生神経を観察しえた.考察: 個々の筋線維においては未だ検討を要するが, 神経移植による, 筋肉への二重神経支配の存在が示唆された.
ISSN:0022-6769
2188-2134
DOI:10.14789/pjmj.53.89