気管支喘息に心原性ショックを合併した難治性冠攣縮性狭心症に対してステロイド治療が著効した1例

症例は気管支喘息にて通院中の62歳女性である.2009年9月上旬,夕刻から冷汗を伴う胸痛が出現し持続するため救急車で来院した.喘鳴は認めなかった.心電図で軽度のST上昇を認めたことから,経過観察入院となった.第3病日午前3時より持続性の胸痛が出現し,心電図上明らかなST上昇を認めた.胸痛発作が持続するため緊急カテーテル検査を施行した.右冠動脈#2から完全閉塞を認めた.硝酸イソソルビド5mgを2回,ニコランジル2mgを5回冠動脈内に注入することで冠動脈閉塞を解除した.異型狭心症の診断を確定した.その後薬物療法を強化し発作が消失したため,同年9月中旬退院となった.退院の3日後胸痛発作が出現し再度入...

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Published in心臓 Vol. 44; no. 12; pp. 1509 - 1514
Main Authors 奥村, 諭, 近藤, 照夫, 奥村, 尚樹, 齋藤, 誠, 田中, 俊郎, 都筑, 正美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.12.2012
日本心臓財団・日本循環器学会
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.44.1509

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Summary:症例は気管支喘息にて通院中の62歳女性である.2009年9月上旬,夕刻から冷汗を伴う胸痛が出現し持続するため救急車で来院した.喘鳴は認めなかった.心電図で軽度のST上昇を認めたことから,経過観察入院となった.第3病日午前3時より持続性の胸痛が出現し,心電図上明らかなST上昇を認めた.胸痛発作が持続するため緊急カテーテル検査を施行した.右冠動脈#2から完全閉塞を認めた.硝酸イソソルビド5mgを2回,ニコランジル2mgを5回冠動脈内に注入することで冠動脈閉塞を解除した.異型狭心症の診断を確定した.その後薬物療法を強化し発作が消失したため,同年9月中旬退院となった.退院の3日後胸痛発作が出現し再度入院となった.入院後,冠血管拡張薬大量内服下でも狭心症発作が頻発し,再入院第9病日午後11時には完全房室ブロックから心原性ショックとなった.同日の採血で好酸球増多(26%)を認めたことから,ステロイドの静脈内投与を開始し,引き続いてプレドニゾロン20mgの内服投与を行ったところ胸痛発作は完全に消失した.以後ステロイドを漸減しプレドニゾロン5mg内服で退院した.2012年11月現在,プレドニゾロン2.5mgの内服継続にて狭心症発作の再発は認めていない.末梢血好酸球増多を伴う難治性冠攣縮性狭心症に対して長期間ステロイド治療が有効であった1例を報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.44.1509