下大静脈への腹部大動脈瘤穿破に対して心肺蘇生と緊急手術を行い救命しえた1例

症例は65歳男性,生来健康であった.来院3日前より便秘気味であった.来院当日の夕方に下剤および座薬を使用し息んでいたところ,脱力感を自覚し,その後意識障害を認めた.前医へ救急搬送され腹部大動脈瘤破裂の診断の後,当院へ紹介搬送された.その搬送中に心肺停止となり,直ちに心肺蘇生が開始された.当院へ到着後,すぐに手術室へ搬入された.手術室に搬入後,心肺蘇生を施行しつつ,緊急手術を開始した.開腹すると,腹腔内には出血を認めなかった.同時切開していた左胸腔内より下行大動脈を遮断した後に,腹部大動脈瘤を開けてみると,瘤内(右側瘤壁)より下大静脈へ穿破している所見を認めた.同部位を修復し中枢は腎動脈下,末梢...

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Published in心臓 Vol. 51; no. 12; pp. 1272 - 1275
Main Authors 佐地, 真育, 清水, 淳, 齋藤, 大樹, 内室, 智也, 高梨, 秀一郎, 伊東, 千早
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.12.2019
日本心臓財団・日本循環器学会
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.51.1272

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Summary:症例は65歳男性,生来健康であった.来院3日前より便秘気味であった.来院当日の夕方に下剤および座薬を使用し息んでいたところ,脱力感を自覚し,その後意識障害を認めた.前医へ救急搬送され腹部大動脈瘤破裂の診断の後,当院へ紹介搬送された.その搬送中に心肺停止となり,直ちに心肺蘇生が開始された.当院へ到着後,すぐに手術室へ搬入された.手術室に搬入後,心肺蘇生を施行しつつ,緊急手術を開始した.開腹すると,腹腔内には出血を認めなかった.同時切開していた左胸腔内より下行大動脈を遮断した後に,腹部大動脈瘤を開けてみると,瘤内(右側瘤壁)より下大静脈へ穿破している所見を認めた.同部位を修復し中枢は腎動脈下,末梢は両側総腸骨動脈へ人工血管置換術を施行し手術終了とした.術後経過は順調であり,術後およそ3週間で,リハビリ施行目的に他院へ転院となった.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.51.1272