肝細胞癌の現状

「1. わが国の肝細胞癌の疫学と特徴」原発性肝癌は, 肝細胞癌 (hepatocellular carcinoma : HCC), 肝内胆管癌, 細胆管細胞癌, 胆管嚢胞腺癌, 混合型肝癌, 肝芽腫, 未分化癌に分類される. このうちHCCが原発性肝癌の90.1%, 肝内胆管癌が6.9%を占め, その他の組織型は1%未満である. 肝内胆管癌は胆道癌に準じて治療が行われるため, 本稿ではHCCについて述べる. HCCの死亡者数は近年, 減少傾向となっている. C型 (HCV), B型肝炎ウイルス (HBV) に対する抗ウイルス治療の発達と, 危険群に対するHCCのスクリーニングが普及してきたこと...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 21; no. 3; pp. 235 - 242
Main Authors 平岡 淳, 多田 藤政, 大濱 日出子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 20.08.2025
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ISSN1349-8975
1880-2877
DOI10.1272/manms.21.235

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Summary:「1. わが国の肝細胞癌の疫学と特徴」原発性肝癌は, 肝細胞癌 (hepatocellular carcinoma : HCC), 肝内胆管癌, 細胆管細胞癌, 胆管嚢胞腺癌, 混合型肝癌, 肝芽腫, 未分化癌に分類される. このうちHCCが原発性肝癌の90.1%, 肝内胆管癌が6.9%を占め, その他の組織型は1%未満である. 肝内胆管癌は胆道癌に準じて治療が行われるため, 本稿ではHCCについて述べる. HCCの死亡者数は近年, 減少傾向となっている. C型 (HCV), B型肝炎ウイルス (HBV) に対する抗ウイルス治療の発達と, 危険群に対するHCCのスクリーニングが普及してきたこと, 手術, ラジオ波治療 (RFA) を含む焼灼療法といったHCCに対する治療法の進歩発展がその要因である. わが国における原発性肝癌の2020年の診断数は34,744人, 2023年の死亡数は22,908人であり, 部位別では男性第5位, 女性第6位に位置している.
ISSN:1349-8975
1880-2877
DOI:10.1272/manms.21.235